【教育報道】 令和三年九月三十日に中教審/文科省は、第百二十六回「教育課程部会」を開いた。その中で本年度の『全国学力・学習状況調査の結果』が参考資料として提出された。対象は全国の小中学生と小中学校。調査月は五月から六月。
正答率は、小学校の国語で六十四.九㌫(前年度比〇.九㌫増)、算数で七十.三㌫(同三.六㌫増)。中学校の国語で六十四.九㌫(同八.三㌫減)、算数で五十七.五㌫(同二.八㌫減)。
以下は調査結果のポイント。
(小学校国語)
- 新学習指導要領で示された「資料を活用する等して、自分の考えが伝わる様に表現を工夫する事」を踏まえた「話す事・聞く事」に係る出題につき、資料を用いる目的を理解したり、目的や意図に応じて資料を使って話したりする事はできる
- 目的に応じて文章と図表を結び付け、必要な情報を見付けて読む事につき、引続き課題
(同算数)
- 速さと道程を基に時間を求める式に表す事はできるが、速さを求める除法の式と商の意味を理解する事に課題
- 「データの活用」の領域につき、帯グラフで表された複数のデータを比較し、示された特徴をもった項目とその割合を記述する事に課題
(中学校国語)
- 文章を読み、登場人物の言動の意味を考え、内容を理解する事はできるが、文章に表れているものの見方や考え方を捉え、自分の考えをもつ事に課題
- 過年度の小学校調査において見られた課題に関連した出題において、相手や場に応じて敬語を適切に使う事に課題
(同算数)
- 「関数」の領域につき、日常的な事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明する事に引続き課題
- データに基づいて事象を考察する場面において、データから中央値を求める事に改善の傾向がみられる。一方、二つの分布の傾向を比べる際の相対度数の必要性と意味の理解に課題
<子どもと学校の詳細>
また、児童生徒と学校に向けた「質問紙」の調査結果も公表。児童は小学生、生徒は中学生。
(主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善)
- 「授業では課題の解決に向け、自分で考え、自分から取組んでいましたか」との質問に、肯定回答は生徒で増(八割)、この質問に肯定回答した児童生徒程、各教科の平均正答率が高い傾向
- 同質問に肯定回答した小中学校の割合も九割弱、肯定回答した学校程、全教科において平均正答率が高い傾向
- 「本やネット、図書館資料等を活用した授業を計画的に行いましたか」との質問に「週一程度、又はそれ以上」「月に数回程度」と回答した割合は、平成二十九年度の回答から小中共に二十五㌽以上の増
- 「児童生徒自ら学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現する等の学習活動」についての学校の取組みは何れも増。小中共に八割で校内研修。授業においても八割以上の学校が当該学習活動を取り入れている
- 「話し合う活動を通じて自分の考えを深めたり、広げたりする事ができるか」との質問に肯定回答した小中・児童生徒の割合は増。何れも八割
- 個に応じた指導(個別最適な学び)の状況につき、「授業は自分に合った教え方、教材、学習時間等になっていたか」との質問に肯定回答した児童生徒の割合は児童八割以上、生徒七割以上
- 同質問へ肯定回答した児童生徒程、「家で自分で計画を立てて勉強している」との割合が高い傾向
- 同質問へ肯定回答した児童生徒程、「国語、算数・数学の勉強が好きだ」との割合が高い傾向
(ITを活用した学習状況)
- ITを活用した授業の頻度は増。「略毎日実施」と回答した小中は五割以上
- 児童生徒の授業でのIT機器の使用頻度は増。特に小学校では「略毎日」「週一以上」との児童が約十㌽の増
- 「あなたは学校でIT機器を他の友達と意見を交換したり、調べたりする為に、どの程度使用していますか」との質問につき、「略毎日」は一割。「略毎日」と「週一以上」を合わせると四割
- 同質問につき、肯定回答した児童生徒の割合は九割
- 小中におけるIT機器を活用した取組みにつき、「教職員と児童生徒がやり取りする場面」では一割が「よく活用している」
- 「あなたの学校では、生徒 一人ひとりに配備された P C・タブレット等の端末を、どの程度家庭で利用できる様にしていますか」との質問につき、「毎日持ち帰って、毎日利用」「毎日持ち帰って、時々利用」「時々持ち帰って、時々利用」と回答した小中の割合は二割
- 「平日に一日当たりどれ位の時間、IT機器を勉強の為に使っていますか」との質問につき、児童生徒の回答で最も割合が高いのは「三十分未満」の三割。二割は「全く使っていない」
- 一日当たりのゲームをしている時間は児童生徒ともに増。「一時間以上/日ゲームをしている」と回答した児童生徒の割合は八割弱
- 小中共に一日当たりのゲームの時間が増える程、各教科の平均正答率は低い傾向
- 「学校の授業時間以外に、平日一日当たりどれ位の時間、勉強をしますか」との質問につき、回答状況に大きな減少は見られない
- 教員がIT機器の使い方を学ぶ為に必要な研修機会につき、「ある」「どちらかと言えば、ある」 と回答した割合は八割
- IT機器の活用に関し、学校に十分な知識を有す専門スタッフ(教員は除く)がいる等、技術的にサポートできる体制につき、「ある」「どちらかと言えば、ある」と答えた割合は五割
(コロナ禍の臨時休校と児童生徒の学習状況・学校の取組み)
- 令和二年四月以降の地域一斉の臨時休校期間は、小中共に「五十日以上、六十日未満」が最多。次いで「四十日以上、五十日未満」、「六十日以上、七十日未満」
- 休校中、家庭学習の内容として「教科書に基づく学習内容の指示」や「学校作成のプリント等の配布」を課した小中は八割。「教育委作成の問題集等の教材を活用した学習」は三割弱。「学校作成の学習動画等を活用した学習」は二割弱。「同時双方向型オンライン指導を通じた学習」は一割未満
- 休校中、児童生徒の学習状況や生活状況の把握手段につき、「電話やFAX」が小中七割。「登校日を設定して学校で直接」が小学校六割、中学校七割。「家庭訪問」は小中共に四割
- 上記につき、休校期間が長くなる程に「電子メールやSNSを使って行った」「オンライン学習支援プラットフォ ームや学習管理システム等を活用して行った」「同時双方向型オンラインシステムを活用して行った」と回答した小中の割合が高くなっている
- 休校終了後に「児童生徒の心身の状況のチェック」、「児童生徒の学習状況及び成果の確認」を行ったと小中は九割。「長期休業期間の短縮」や「学校行事の見直し」 を行った小中は九割
- 休校期間が長くなる程に終了後で「学習内容の定着が不十分である児童生徒を対象とした補習の実施」「時間割編成の工夫」「土曜日の活用」「次年度以降を見越した教育課程編成」「授業における学習活動の重点化」を行った小中の割合が高くなっている
- 休校中、「計画的に学習を続ける事ができたか」につき、肯定回答は児童で七割弱、生徒で四割
- 休校中、「規則正しい生活を送っていたか」につき、肯定回答は児童で七割弱、生徒で五割
- 休校中、「課題で分からない点があった時、どの様にしていたか」につき、児童は「家族に聞いた」が最多の八割。生徒は「自分で調べた」が最多の六割
(その他)
- 「将来の夢や目標はあるか」に「当てはまる」は、特に児童で減{原文は「持っているか」。夢や目標は持つものではなく、有るか無いか。よって答えもおかしい。}
- 「人が困っている時は、進んで助けているか」に「当てはまる」は、特に生徒で増
- 「学校に行くのは楽しいと思うか」に「当てはまる」は、特に児童で減
- 「今住んでいる地域の行事に参加しているか」に「当てはまる」「どちらかと言えば、当てはまる」と回答した児童生徒は減
- 「地域学校協働本部やコミュニティ・スクール等の仕組みを生かし、保護者や地域の人との協働に よる活動を行ったか」に「よく行った」と回答した小中は減
- キャリア教育の取組みに関し、「職場見学や職場体験活動を行っている」と回答した小中は減
- 教員の研究会等の機会に関し、「校外の各教科等の教育に関する研究会等に定期的・継続的に参加 している」に「よくしている」と回答した小中は減
文字・画像修飾:FPhime
画像:【参考資料4-1】令和3年度 全国学力・学習状況調査の結果/文部科学省
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