高市早苗『美しく、強く、成長する国へ。』は政策集 兼 内閣タスク集

【政治・経済・軍事・書籍考察】 令和三年十月五日に自民・高市早苗(辛丑)政調会長が、三十一日の『総選挙』公約へ台湾(総統:蔡英文)のTPP加盟支援の明記検討を報道各社は報じた。早苗会長は九月の総裁選に立候補。十五日に『美しく、強く、成長する国へ。ー私の「日本経済強靱化計画」/ワック』を上梓していた。


本書は総裁選に係る政策集であるが、行政府・内閣のタスク集でもある。早苗会長であろうがなかろうが、日本国の総理は本書のタスクを間違いなくこなしていかなければならない。総理を目指す者や国会議員、中央官僚、ビジネスマン等が目を通しておいた方が良い書籍。政務調査会は政策部会。そこの長は、選挙及び国会にて党として如何様な政策・法案を打ち出すかを纏める。詰まり、本書の内の一部が日本経済で実現するだろう。


本書の主軸は経済政策。税制と改憲にも触れた。元・大学の経済学部教授らしく、緻密な政策提案が為されている。ポイントは、まるで経済記者の如く、企業トップや大学教授等へ取材を行った点だ。本書では「ヒアリング協力者」として奥付に一覧がある。



<強靭な経済を信じる早苗>

 日本経済強靱化計画=サナエノミクスは、改革から投資。政府による投資後の国民分配を重んじる。投資対象は「危機管理分野」と「成長分野」が主体。次いで中国(主席:習近平)を意識した「経済安保」。冒頭の台湾TPPがその一部だ。そして「サイバセキュリティ」と「地方」の計五項目。


書き出しは母の育児日記。「昭和三十六年(一九六一年)三月七日、女の子誕生。内閣総理大臣は池田勇人」と縁を感じざるを得ない。池田元・総理は宏池会を作った。その宏池会のトップが岸田文雄(丁酉)総理で、総裁選にて共に政策を競った。その岸田総理に党の政調会長を打診された。


各人への取材を通じて早苗会長は「いずれも国家経営のトップが明確な国家経営理念と強い信念をもってリーダーシップを発揮し、産学官が連携して本気で取り組めば、克服できる事ばかりだ。」と認識した。必ず「強靭な経済」を実現でき、それは社会保障の安定性と持続性に直結するとの想いに至る。



軍事安保<経済安保

 高い徳を感じさせる冒頭では熱き想いを綴り、個別具体の政策では国内法だけでなく、中国の法律にも言及。技術分野に関しても、高い放射能を有さない「核融合炉」や「量子コンピュータ」等と一気に読むものではなく、じっくり読むものだ。実現には数年を要するものばかり。


馴染みのない「経済安保」という言葉も本書を読めば、経済と軍事が一体であり、軍事的な脅威と同等ないしそれ以上である「経済的な脅威」が何なのか、経済的な防衛力の無い日本経済だと何が起こるのかが見えてくるだろう。サイバセキュリティ等も含め、軍事的な脅威よりも経済的な脅威の方が甚大な影響を及ぼす事を国民が知る必要がある。現在における日中関係の諸問題は、両国の経済(GDP)格差の拡大によって引き起こされている。


然しながら、本書にて軍事を疎かにはしない。



ここまで知性と徳の高い女性国会議員がいたであろうか。そう感じた保守層が先の総裁選でネットを中心に熱狂していた。女性の国会議員はいるが、取材を通じて知性の高いと報じれる者は、本当に少ない。我々は経済(ビジネス)が基盤であるので、経済目線が無い女性の国会議員は重要視し難い。報道府は断言できる。早苗会長は平均的な女性の国会議員と比べ、政治・経済・軍事を広く学んでいる。


それは成長投資の政策の一つ「リカレント教育+持続教育(社会人向け)」という形にも顕われている。「日本の国は、今を生きている私達だけのものではない。」と今の風潮を戒め、結びでは「『日本を美しく、強く、成長する国』にする為には、勿論、経済力だけではダメだ。文化や伝統の力も重要だ。」と、天皇家を核とする日本に早苗会長は思いを馳せた。


記事:金剛正臣

画像:ワック㈱

0コメント

  • 1000 / 1000