総括、各党の選挙結果分析「何が良く、何がダメだったのか」|衆院選二〇二一

【政治考察】 令和三年十月三十日に『衆院選』が行われ、与党の自公連立は二百九十三議席(絶対安定多数)を獲得した。翌日、日経平均は上がった。選挙前は三百五議席だった。四㌫の減。岸田内閣は国民から信任され、補正予算の編成に向けて経済政策を本格化させる。

投票率は五十五.九三㌫。


一方の立産同盟は政権交代に失敗。立憲は九十六議席で十二㌫の減、共産は十議席で十七㌫の減と国民の信任が離れた。衆院・第三党に躍り出たのは維新。公明を上回る四十一議席で二百七十三㌫の増。共産を上回ったのは国民。十一議席で三十八㌫の増。


  1. 自民;二百六十一議席(五㌫減)
  2. 立憲;九十六議席
  3. 維新;四十一議席
  4. 公明;三十二議席(十㌫増)
  5. 国民;十一議席
  6. 共産;十議席
  7. 新選組;三議席
  8. 社民;一議席




<小選挙区は接戦、比例は党首次第>

 選挙前、自民は過半数を危ぶまれる程の議席減が予測されていたが、岸田内閣は大きなブレーキを掛けた。相当、選挙戦は上手くいった。一方の立産同盟は失敗したのか。議席数だけで視ると失敗の様であるが、「小選挙区」では自民の重鎮を破ったり、差し迫ったりと相当程度に奏功した。しかし、今回の『衆院選』では得票率の「比例代表」で明暗が分かれた。


例えば、首都圏の「北関東」「東京」「南関東」の三ブロックを視ると、自民と立憲の得票率の差は北関東で十二.七㌫、東京で十.九㌫、南関東で十二.六㌫と十㌽以上も離されている。首都圏は日本で最大の情報発信力があるので、このエリアで立憲と書いて貰わなければ、他のブロックでは見込みが無い。


最大の差は「中国」ブロック。自民と立憲の差は二十五㌽も開いてしまった。


「小選挙区」では数多の箇所で接戦をしたにも関わらず、「比例代表」で立憲と書いて貰えなかった理由は一つ。枝野幸男(甲辰)代表が毛嫌いされた、という事に他ならないだろう。とある民放の選挙特番で若者が生中継の共産幹部へ「自民は表紙を変えただけと言いますが、そちら(立産)は表紙さえも変わっていない。」と指摘し、共産幹部は固まった。


自民は安倍・菅・岸田内閣と顔ぶれが変わっているが、この四年間で立憲は枝野代表から変わっておらず、同じく「比例代表」で伸び悩んだ共産も志位和夫(甲午)委員長から変わっていない。十一月二日に枝野代表は辞任を表明した。




無党派では立憲が自民を上回る

 今回の立産同盟は表紙、詰まり代表・委員長が変わっていれば、「比例代表」で大幅増になっていた可能性もある。何故ならば、今回の無党派は立憲に最も多く比例投票したからだ(右派・NNNの出口調査より、上図)。


大幅増の維新は、来夏『参院選』を前に代表選が行われる見込み。松井一郎(甲辰)代表は既に引退表明しているので、期待するのは若手・吉村洋文(乙卯)副代表であろう。維新は首都圏の「小選挙区」ではまるで勝てなかったが、「比例代表」の得票率で公明に勝った。これが大幅増の原因。新たな維新への期待が勝った。事実、首都圏でも若者・若手の候補者を多数擁立した。



同じく「比例代表」で多く党名を書いて貰ったのが、国民。玉木雄一郎(己酉)代表は中堅だが、若者・若手に寄り添う姿勢と爽やかさ、そして今回最大のフットワークで好感度を上げ、議席増となった。立産同盟と比べ、若さが勝ったと言えよう。


公明も「比例代表」で議席増。十八歳以下への十万円給付を掲げ、若き母親達を中心に党名を書いて貰った模様。新選組も月二十万円のベーシックインカムを訴え、「比例代表」のみで議席獲得した。




<無党派へ届いたか>

 また「小選挙区」の接戦度合いは「二、三千票から二、三万票」の範囲。この「小選挙区」で立憲が致命的だったのは、SNSにて各候補者が街頭演説の日時を告知・更新しなかった点だ。今までの選挙では、与党よりも積極的に告知していたにも関わらず、終始、執行部の告知に集中してしまった。これでは無党派が動けない。各候補者自体を知りたい無党派の票を積み増せた可能性があった。


反対に自民は、各候補者が街頭演説のSNSの告知・更新を今まで以上に連発。大敗を防げた大きな要因であろう。無党派にも、それなりに響いた。


同じ様に共産も告知・更新を連発していたものの、肝心の街頭演説が自公よりも腑抜けていた。「bizlinTV」で特集した演説動画を比較すれば、誰でも分かる程に刺さらない。共産は、社会主義のトレンドがある中で、しかも若者・若手を首都圏で最も擁立していただけに、大変に勿体無い選挙であった。



必要だった演説での具体的な経済対策

 そして立産同盟は、具体的な腑に落ちる経済政策を語らなかった。よって自公連立も語らなかった。上図の様に、若者・若手は経済対策を欲していた。にも拘わらず、過去への感情論が多く、未来の具体策を語らなかった。語っていたのかも知れないが、若者・若手の知識レベルから考えると、立産は語っているに値しなかったのだろう。より踏み込めば、票は積み増せた可能性がある。


上図からもハイムの主要ユーザ層である二十代・三十代は賢い。簿記を理解している。上の世代は簿記を勉強する気が無いのだろうか。


そして街頭演説において無党派は、素通りが基本である。「AIDMAの法則」のアテンションに引っ掛からなければ、その候補者を調べる事は無い。演説力は「説得の三原則(ロゴス;論理、エトス;信頼、パトス;情熱)」が基本である。情熱が欲しい。事実、情熱があった若き候補者達は、中堅・シニアを各個撃破した。


全体として老いて変わらない立産同盟から、若さの維新・国民へ票が移ったと言える選挙ではないだろうか。矢張り鍵は、無党派と若さである。維新と立憲が新たな代表で臨む『参院選』は八ヶ月後。


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