【ビジネス論説】 企業の命題は利益を出し続ける事。売上げがあるから、取引先に原価を支払い、社員に給与を支払い、利益が出る。その利益で投資に挑戦できる。利益を出し続ける為に必要なものは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」。全ては、その組織の「ヒト」の優劣で「モノ」「カネ」「情報」を有効利用できるかが決まる。
では組織の集団である「ヒト」は、どうあるべきだろうか。それは経営戦略が軍事戦略から派生した様に、軍部の様な組織の「ヒト」が高い生産性を誇り、利益を出し続けるだろう。
下に合わせてはならない
雑誌「CanCam」が中高生を対象に格好良い大人のランキングを発表した。それによれば、「好きな事に打ち込んでいる」「マナーがしっかりしている」が上位となった。その中で「対等な目線で接する(上から目線にならない)」が中高生共に五割を超えた。男子は共に四割を超え、女子は三割前後と差がある。
パナソニックを一代で築き上げた経営者・松下幸之助の側近であった江口克彦が東洋経済に『役職者を「さん付け」する会社が崩壊するワケ』を寄稿した。役職者を役職で呼ばない事による弊害を会社の内外から説明している。「さん付け」は、その人の責任や誇りを失くす、という。そして最後には、会社組織の「理の世界」に「情の世界」を持ち込むな、と諭す。
「上から目線」「偉そうに」。これは対等関係か自身より下位の者が行った際に、使用する。自身より目上の上位に対しては、マナーとしても決して使用しない。自身より上の職位(地位)であるならば、「上から目線」でなければならない。自身より上の職位(地位)であるならば、「偉そう」ではなく、偉い。ここでの偉いは権限と責任が上位、という意味だ。
上位の職位(地位)の者が「上から目線」「偉く」なくなってしまったら、誰が責任を負うのだろうか。
<社会人はルールを守る>
会社において一番上は株主、次に取締役(使用者)、次に社員(使用人)。商法という絶対ルールに記されている。国において一番上は主権者の国民、次は特別職の公務員(国会議員・大臣・裁判官)、次に一般職の公務員。全ての公務員は国への奉仕者。現代の天皇陛下は象徴であられる。憲法という根本ルールに記されている。
ルールが上で、マナーが下だ。法のルールを守る方が先だ。マナーは後回しとなる。
指示・命令、成果、教育
ビジネスは常在戦場。戦場において、上官が下僚に「お願い」する事はない。上司が行うべき事は的確な指示・命令だ。その上司達が部下からの好き嫌いを恐れて、「お願い」や「忖度」している。ゆとり世代を揶揄する前に、上司達の心がゆとっているのではないだろうか。部下に嫌われても良い。重要な指標は成果だ。もし部下が上司を嫌って仕事をしない(怠る)のであれば、商法的にも就業規則的にも、その部下はルール違反である。
このルール違反を重ねれば、解雇を宣告できる要因となる。部下とのコミュニケーションを図る事を後回しにし、成果を真っ先に考える。それが責任。積極的なコミュニケーションを図るのは、部下の仕事であり上司では無い。上司の仕事は指示・命令と成果、そして教育だ。その結果、利益が上がる。
利益なくば、企業は倒産に向い衰退する。利益なくば、安定した雇用は不可能となる。部下を忖度し対等関係を築かずに、上下関係を徹底する方が中長期的にみて、精神的な負担は少ない。その積み重ねが、二十万人を超える自衛隊の様な持続可能な組織へと堅牢化する。
(了)
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