「財政支出は躊躇なく」と経財会議、令和四年度『予算』編成開始

【政治・経済・財政報道】 岸田総理(丁酉)は、令和三年十二月三日に総理大臣官邸にて本年度の第十六回『経済財政諮問会議(経財会議、議長:同)』を開催した。本会議が平成時代以降、国民の生活を左右している。議事は以下の二点。


  1. 経済・財政一体改革における重点課題~イノベ、デジタル化を梃子に~(文教・科学技術、社会資本整備、地方行財政)
  2. 令和四年度『予算』編成の基本方針



<三本柱へ大胆投資>

 先ずは二の岸田内閣初の「当初予算」から。「コロナ克服・新時代開拓の為の経済対策 (十一月 十九日閣議決定)」を速やかに実行に移す。≪新しい資本主義≫の実現の為の柱は「科学技術立国の実現(大学ファンド等)」「デジタル田園都市国家 構想」「経済安保の推進」。この三本柱へ大胆投資をしたい。


岸田総理は本会議後に「来年度予算については、本日答申頂いた基本方針に沿って、十六ヶ月予算の考え方で、経済対策の裏付けとなる今年度補正予算と一体として編成して参ります。」と述べた。


それらを実現する経済財政運営に関して。

最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げる。
危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期する。

経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。先ずは、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組んでいく



財審は警鐘を鳴らしながらも中小へ重点支援

 本会議では「令和四年度 予算の編成等に関する建議 (財政制度等審議会)のポイント」も提出された。財審は財務大臣の諮問機関。日本史上、類を見ない昨今の財政支出を財審は「戦後最⼤の例外」と称し、財政の正常化を推した。併せて「財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗はしっかりと掲げ続けなければならない。」と、国際的な円の信認(日本の信用)を意識した。


但し、財審が主張する根拠法は以下の『財政法』第四条(緊縮財政、赤字国債の由来)に基づいているので、同四条を改正すると「財政拡張(高度経済成長)」が可能となる。戦前はそうやって景気を良くしていた。一部の有識者からは、同法が違憲との可能性も指摘されている。


国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。
但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金を為す事ができる


しかし財審は中小企業に関し、「事業者の置かれた状況に応じて、⽀援を重点化すべき。」や「個別に視れば債務が過⼤となった事業者も存在する為、事業再⽣⽀援を強化すべき。」と中小への緊急救済も訴えた。




<好景気の核>

 次に一について。未だ国民が不透明な印象を抱いている「デジタル田園都市国家 構想」が、少しずつ固まってきた。[新しい資本主義]もそうだが、岸田総理は“聴く耳”を持っているので、一時(イチドキ)に具体を発表しない。理由は岸田総理が、他の意見を採り入れるブラッシュアップ型だからだ。大枠は岸田総理が決めるが、具体はボトムアップ型とも言える。


好景気を生み出す策の中で最も経済的・持続的インパクトがあるのが、本構想。分かり易いのは「地方行財政改革」の推進。全地方行政のDXである。四十七都道府県庁のDXは勿論の事、全国にある一千七百もある市区町村の行政をDXしたい。DXを実際に担うのは民間であり、全国規模のB2G案件となる。


しかも長期に亘る。岸田総理も数年掛かる改革案と捉えており、その間、中央政府は国債を以て投資を続けたい。これは、会計的に政府から民間への所得移転とも言える。IT関連のサービス業を核に『所得倍増』へと繋がる具体策が本構想と成り得る。上図スライドを参照。


東名阪の超大型都市以外をDXし、日本国内に古代ギリシア時代「ポリス」の様な都市国家を複数創りたい。イメージ的には、日本国の連邦化の様なものだろうか。それ程に、地方行政を刷新・改革したい。



子ども・若者・若手が活き活きとする施策へ

 そして、そこに若者・若手の可能性も秘める。「ワーケーション」や「テレワーク」等で東名阪に拘る必要は薄れている。東名阪は日々の変動費・固定費が高い。東名阪で個人や法人がしっかりとした利益を出す為には、相当の売上高(所得)が必要だ。そして何より有力シニアが多い東名阪では、売上高(所得)拡大で疲れる。


地方であれば、売上高(所得)が低くなろうとも、コストが低いので利益が出易い。これは人生設計を調え易い事を意味する。地方は人間関係の煩わしさもあるが、東名阪も煩わしい度合いは同じではないだろうか。日々、笑顔で仕事に勤しみ、子育てをできる様になるかもしれない。


地方が東名阪並みのITリテラシを獲得した時、地方GDP(所得)は上がる。東名阪以外に投資をし、子ども・若者・若手が活き活きする。それが中堅・シニアへ伝播する。これが令和版『所得倍増』という高度経済成長に成り得るのだろう。


岸田総理は「基盤となる地方のデジタル・インフラ投資を大胆に進め、デジタル田園都市国家構想の実現に繋げて参ります。」と述べた。岸田内閣への評価は、一先ず短期の途切れた「コロナ対策支援(現金支援)」を確認しつつ、中長期的な視点を意識した方が良さそうだ。


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