【芸能報道】 平成二十九年六月九日に東京・南麻布にて、テンダープロ(代取:井内徳次)は映画『single mom 優しい家族。』の製作発表会を行った。登壇者は内山理名(辛酉、写真上)、木村祐一(癸卯)、子役・長谷川葉音(乙酉)と監督脚本・松本和己の四名。同日に開始したクラウドファンディングは八月末日まで支援者を募る。目標額は三百万円。
本作はノンフィクション的なフィクションである。松本監督は取材を重ねてきたシングル マザーの実態を知ってもらいたいという思いより始まった。石野真子(辛丑)や岡元あつこ(癸丑)等も出演する。母親達の問題、その子ども達の実態を共有し、自分事として支え合える社会の仕組み作りに挑む。本作の興行による収益の一部をシングル マザー向けに寄附する(子どもの制服の支援・子ども食堂の支援等)。公開は来年の五月を予定。
<シングル マザーの裏側へ>
主演の内山は赤のドレスで登場した。内山の周囲にもシングル マザーがいる。「台本を読んだ時に、本当に胸が苦しくなってしまって。演じる事によって少しでも支えになったら。」と決意を表した。また作中に出てくるSNSについて「SNSって結局、良い写真、良い情報を載せる様な物。その裏側は何だろう。(シングル マザーの)裏側の孤独だったりとか、人間らしい所を演じれたら。」と共有系仮想空間の本質に迫る。
木村(写真上右)は、発達障害のミニカー職人を演じる。ミニカーを作った事を問われて「そんなん無いですけど。」と答え、「ある種、没頭したらそれしか見えない様な男で。」と役柄を説明。言葉が拙い分、感情や態度でコミュニケーションする役と捉えた。松本監督からは三時間程、説明を受けた。本作は九十分。木村は「熱意が完全に伝わっています。」と、二十日からのクランクインを愉しみにしている点を伝えた。
内山の一人娘を演じる長谷川もシングル マザーの家庭だ。松本監督(写真上)はシングル マザーの問題について、「上澄みだけが語られている。皆さんに知られてない部分を映画に。シングル マザーの内側を描きたい。」と製作理由を述べた。ロケ地は北海道・ニセコ(町長:片山健也)。松本監督は居酒屋で偶然に片山町長と出逢い、ロケの協力に至った。「主人公に起きるエピソードは略、事実なんです。普通では考えられない様なエピソードが掛かってくる。」と、現実のシングル マザーが背負っているものである点を強調した。
本作の後援はシングルマザー支援協会(代表理事:江成道子)が付いた。配給は渋谷プロダクション(代取:小林良二)。
=あらすじ=
シングルマザーの空愛実(33)は元夫(内縁)のDVから逃げるように娘のエミリー(11)とニセコに戻ってきた。今の愛実には頼れる人も場所もなく、微かな記憶しかない故郷に戻ってくるしかなかった。希望などないけど…。
しかし縁などはなくやはり孤軍奮闘しなくてはいけない状況は変わらず、生活は困窮していく。どこに相談したらよいのか、誰を頼ればよいのかわからない。どんどん追い込まれていく愛実は精神安定剤を大量に飲まなければいられない状態である。でも側にいるエミリーのために頑張れているのかもしれない。
エミリーは外国人との間に生まれた11歳の女の子。母、愛実へのDVはわかっているけれども、自分には優しい父Colinの事は嫌いではなかった。彼女自身も二人の間で物言わず苦しんでいたのである。
ある日、エミリーが一人で遊んでいる時に、ボールがある小屋に入り込んでしまった。こっそりと取りに行った小屋の中にはたくさんのミニカーと、おっかなそうなおじさんが一人。そーっとボールを取って帰ろうとしたが、ある作りかけのあるミニカーに目が釘付け!それを見たエミリーは立ち去るどころか、近づいて行ってしまう。そのミニカーを手にしようとした時、「触るな!」と、その家の主の鉄二(55)が叫んだ。
エミリーはビックリするも慄かず、一方的に鉄二に絡んでいく。実は鉄二は人と接するのが非常に苦手な発達障害のミニカー職人である。絡んで欲しくない感が満載である。
その作りかけのミニカーは「ここの色が揃えば完成である」と言うことがわかったエミリーは、愛実との衝突の後、ふらり寄ったホビーショップでその塗料を見つけ、万引きしてしまう。
父への思いが鉄二と重なり合う。
しかしその万引きを知った愛実はいつもの優しそうな面持ちは消え、エミリーに対して自分の置かれている苦しさのはけ口となり、思い切り叱りつけてしまう。かつて自分が経験し、その思いは自分の子にはさせないと誓ったはずの暴力が…。
子を思う孤独な母のプレッシャー、親を思う子の葛藤、人と関わることを拒否してきた職人の人間模様が絡み合い、やがて希望に繋がる…。
撮影記事:金剛正臣
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