博報堂の出島「QUANTUM」が仕掛ける企業内起業

【ビジネス考察】 博報堂(代取:水島正幸)は、平成二十九年六月十三日にセミナ『企業内起業家のためのリーン・スタートアップとオープン・イノベーションによるビジネスモデル開発』を開催した。大企業のリーン・スタートアップ及びオープン・イノベーションを支援してきたQUANTUM(代取:高松充)が、新ビジネスモデルの事例を紹介した。


QUANTUMは、TBWA\HOKUHODO(代取:佐藤雄三)の経営企画室の事業から生まれた会社。今回のセミナの背景には日本の生産性が世界最下位群に属する点、日本のスタートアップ企業が少ない点と大企業内イノベーションが求められている点がある。博報堂は企業内起業家精神がある新規事業担当者(コーポレート・アントレプレナ シップ)の活躍が求められているとする。


企業内イノベーションを促進するものとして「出島」を挙げた。江戸時代の長崎がそれだ。QUANTUMの位置付けも博報堂系の「出島」となる。組織上の特徴は以下の三つ。


  1. 本社の経営トップ直轄の別組織
  2. 決定権は本社ではなく出島のリーダー
  3. 社内の仕組み(ビジネスプロセス・人事制度・会計システム・ルール運用)が新規事業を生み出す為に最適化



<何をしたのか>

 事例は三つ挙げた。一つはアイデアの素案からのはマーケティング リサーチ、サーベイではなくイベント出展でのユーザ使用感の検証。新規事業開発時のターゲット ユーザとの対話を早い段階でプロトタイプに落とし込み、フィードバックを収集するサイクルの重要性を説く。またリーン・スタートアップにより、働き方と企業文化にも影響を与えるとする。


二つはリーン・スタートアップの仕組化。新規事業開発を連続して生み出す事だ。クライアント社内に起業家育成のプログラムを企画・運営した。鍵は意思決定プロセスのデザイン。プログラムはトップ直轄で役員も加わった。起業家精神をもった人が多くいる事実を知り、身近な問題からプロトタイプを作り、ユーザー検証・実証実験・事業化計画を立てローンチ。この流れを仕組化し十の新規事業を作った。


三つは社外プレーヤとのコラボ。プロや主婦、学生等から企画を募ってアイデアを選定。プロダクト化のステップ(集める・作る・広める)を経た。


QUANTUMは海外現地法人を設立し、台湾と深圳に拠点を置いた。また会員制のDIY工房「TechShop Tokyoo」でワークショップとプログラムの開発・提供、スキルシェアリングサー ビス「pook/ランサーズ」のプロトタイプ開発支援を行う。更にAI研究のスタジオを立上げた。


画像提供:㈱博報堂

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