総裁選まで後一年、岸田文雄対石破茂の真の闘いが始まる

【政治考察】 平成三十年九月に自民は総裁選を行う。およそ一年を前にして、ポスト安倍に浮上した岸田文雄(丁酉、左)政調会長・元国対委員長と石破茂(丁酉)元幹事長・元政調会長。奇しくも同級の二人である。第三安倍政権.参の内閣支持率が気にされる中、二人の本格的な闘いが始まった。総裁選まで後、一年。無論、安倍晋三(庚午)第二十五代総裁も参戦を狙っている事は周知の事実だ。


田中角栄(戊午)第六代総裁は総理総裁の条件を示していた。それは党三役の内、二役(幹事長と総務会長か政調会長)で且つ、外務・大蔵・通産の内の二閣僚」。前者は現在では党四役と呼ばれ、選対委員長が含まれる。但し、党三役の方が無難である。後者は外務の他は財務・経産となる。但し、田中の時代には防衛省が無かった為、現在では防衛を含むものと見做される。然し、この条件は絶対では無い。



<攻め方>

 事実、安倍は内閣官房副長官から幹事長、内閣官房長官の次ぎで総理総裁となっている。岸田はどうか。国対委員長から外務、臨時的に先の防衛、そして閣外の現・政調会長。対する石破は防衛から農水、政調会長、幹事長、地方創生・国家戦略特区、そして閣外へ。キャリア的には石破に軍配が上がりそうだが、自民には派閥があるので考慮せねばならない。岸田は宏池会の領袖で五十名近くの第四派閥。対する石破は水月会の領袖で二十名程の第六派閥。


総裁選は国会議員と党員による公選。立候補には二十人の推薦人が必要だ。二十四年の総裁選に立候補した石破は決戦投票(二回目)で安倍と一騎打ち。党員票を含む一回目では石破が首位だったが、国会議員のみの投票となる決戦投票では安倍に負けた。詰まり、一回目で過半数を得れなければ、派閥(国会議員)頼みとなってしまう。



現況

 報道現在で石破は党員への影響が強いTV番組に多数出演し、露出を上げている。それは一回目で過半数を獲る為だ。もし安倍が何らかの理由で立候補しない総裁選で、決選投票は相手が岸田であった場合に同じ源流の六十名の第二派閥・志公会が岸田に付く。安倍が岸田に禅譲という形を採ると、更に出身派閥の百名近い第一派閥・清和研が付き、絶望的だ。党内の無派閥を収集しても勝てない。現実的には、石破は一回目で過半数を獲らなければならない。


岸田の方は外務大臣を長く務め、国内を廻っておらず、地方票に不安がある。政調会長だと同党の様々な会合に出席でき、存在感をアピールできる。閣外に出たかった理由は、これであろう。石橋を幾度も叩く岸田は影響力ある派閥間で良い関係を保ち、石破に過半数を獲らせない程度に地方票を固めに行く算段か。



ワイルド・カード二枚

 そして二人にとってのワイルド・カードは女性二人。野田聖子(庚子、写真上)元総務会長。現・総務大臣と国政進出を図る小池百合子(壬辰)元総務会長。現・都知事だ。聖子は無所属だが、つい先日に「次も必ず出るという事は申し上げていく。」と言い放った。前回の二十七年の総裁選は無投票当選となるのを防ぐ為に立候補を試みたが推薦人が集まらなかった。


一方の百合子(写真上)は今回の内閣改造に対し、環境大臣であった点より「3R(リデュース・リユース・リサイクル)内閣。」と一定の評価。東京自民と喧嘩はしても安倍政権・自民本部と一戦交える気は未だ感じられない。通常の類推では無派閥の聖子と都知事の百合子の両名が総裁選に挑む岸田・石破に影響を与えないが、政界は異なる。


大きな流れの変化の下、安倍の次の政権は着々と地盤が固まりつつある。ただ個性が強い政治家が多く、安定政権を前に近未来への不確定さが増している。ある意味で総理候補が多い。麻生太郎(庚辰)や小泉進次郎(辛酉)、民進の新代表、はたまた小沢一郎(壬午)か。一回の小さな羽ばたきで嵐が起きるのだろうか。


撮影:岡本早百合、金剛正臣

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