残る企業に求められる人財の教育組織

【ビジネスコラム】 人財を創れる企業が勝てるだろう。現代において、これは難易度の高い事で専門的な組織を設けている企業はまだまだ少ない。大企業に限らず、中小企業にも持続可能な経営視点が必要だ。ヒト・モノ・カネ・情報の内、ヒトの話である。

企業内に人財を専門的に育てる教育組織を設ける事ができるか。育成ではなく教育である。現代の経営環境のレベルは高次元、当時の修得済み理論では太刀打ちできない。自社の有力な人材を再び大学や大学院、留学させる。自社の戦略ドメインを基に修得するべき学問等を決定する。例えば人事部や総務部下に置いたり、取締役会の直下でも良いだろう。

総理も先日の内閣改造の記者会見で触れた。目玉となる政策「人づくり革命」だ。八月下旬の有識者会議「みんなにチャンス!構想会議」で社会人教育(リカレント教育)に着手する。リカレント教育は、OECDが提唱した生涯教育構想。社会人の大学等への再入学を保障し、学校教育と社会教育を繋ぐ。我が国では「大学制度改革」で夜間大学院や社会人の特別選抜入試等を試みる。


<教育組織は自社の強みに>

 企業としてリカレント教育を行うのであれば、前述の専門組織が欠かせない。兼任であるとヒューマンリソースの適切な管理が見込めず、情報漏洩のリスクも高まる。ポイントは、取締役会の方針と教育組織への評価だ。自社が求める人財を要件定義する。ここが曖昧だと、教育への投資にムラができる。

教育には年数を要する。決して短期で考えてはならない。中長期で有力人材の一人一人に対して大まかな計画を立てる。経営環境の変化に応じて適宜、変更する柔軟性をもつ。有力人材の離職の恐れもあるので、大学等に入学させる場合には離職制限への合意を契約書にする。

入社してきた人材を循環的にリカレント教育を施せるか。これは新たな自社の魅力となり、求人にも効果を発揮する。優れた教育組織のある企業は優れた人材が集まり、循環システムを擁する事で投資した有力人材の離職率は下がるだろう。そして自社に利益をもたらしてくれる。

記事:羽田野正法

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