企業は選ばれ続ける時代に、若きエリートを何人確保できるか

【ビジネス考察】 令和三年十二月二十四日にワークスタイル研究家・川上敬太郎(癸丑)は、記事『米国が直面する「大退職時代」――若手人材を中心に、日本企業にも到来しそうなワケ/ITmedia』を寄稿した。


総務省調査より二十五歳から三十四歳の若者就業者の内、五分の一が転職希望者である点にフォーカスした。川上は「四十五歳定年制を議論する前に、そもそも四十五歳まで社員が会社内に残ってくれているのかどうかを心配する必要があります。」と警鐘を鳴らす。上図は、各種政府統計を基に川上が作成。


米国では既に「大退職時代」が到来しており、日本での到来を示唆する。


当該記事の通り、転職求人サイトの勃興は著しく、副業・兼業・複業も進み始めており、母親達のダブルワーク・トリプルワークも一部で始まっている。これは「収入・働き方選択の自由」が大いに広がった事を示す。




<付加価値を与えよ>

 また二十二日には、代理店募集サイト「ビジェント」を運営するクラウンコンサルティング(代取:島村正顕)は、副業を検討している全国の会社員の男女百十人を対象に、コロナ禍における「副業」に関する意識調査​​​​を発表した。


本調査によると、会社員の九十一.八㌫が副業意欲を有している。その理由として、「不労所得の獲得」が六十七.三㌫、「スキルや経験の取得」が四十七.三㌫、「人脈や視野が広がる」が三十二.七㌫となった。


企業は従業員や取引先(個人事業主を含む)に対し、金銭及び付加価値を与え続けなければならない。単純に価値のある企業ならば勤める、という時代に入っている事を認識しなければならない。エリート程、情報収集の精度は高く、引く手数多となる。従業員や取引先、転職希望者に対して如何に魅力的なプレゼンを行い続ける事ができるか。



若きエリート達の飛翔

 特にエリートへの応対が業績を左右する時代となる。もう既にエリートの繋ぎ止めと獲得戦は、人事部では取捨選択できないだろう。対エリートは、取締役案件となっている。


エリートは時間を無駄にしない。米国における「パートナ」の関係と見做すべきだ。主従関係ではない。そんな事をしてしまったら、即、他社が誘惑できる。若きエリートを軽んじるなかれ。エリートが求めるものは、適切な報酬と付加価値(環境、スキルや経験の取得等)。この二つを提供し続ける企業が、勝者となる。


反対に一度、エリートと市場で見做されれば、インフレが発生する。その人財の価値が膨らみ続ける事。安泰する、の意味だ。条件は自身のブラッシュアップ、リカレント、そして報酬以上の生産高。その者達はノマド志向。大企業等というブランドに大した価値は見出さない。自身の成果をマークできる企業にこそ、価値がある。


令和四年、氷河期世代後期・ゆとり世代・脱ゆとり世代のエリートから仕掛けてくるだろう。


記事:羽田野正法

画像:米国が直面する「大退職時代」――若手人材を中心に、日本企業にも到来しそうなワケ/ITmedia、クラウンコンサルティング㈱

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