十代から四十代が知っておくべき八年後の日本

【社会論説】 後八年後に日本は一億二千万人の内、二千二百万人が七十五歳以上の後期高齢者になる。六十五歳以上では三千七百万人とシニアは三割。全国民が負担する社会保障費は百二十兆円(平成二十七年)から百五十兆円に増える。三十兆円の給付増だ。社会保障費は年金(四割)・医療(四割弱)・介護(一割強)が殆どを占める。


誰が増えた分の給付を負担するのか。内閣府によれば社会保障費の給付は、保険料(六割)と税(四割)で負担している。政府は八年後にGDPを六百十兆円と試算。昨年度は五百四十兆円だったので後八年で七十兆円、毎年九兆円近く増加し続ける計算だ。もし予定通りにGDPが達さなかったら。


保険料を上げる事は難しい。ならば税を上げて国債を更に発行する。詰まり現役世代への負担増か、子ども世代への負担増か、両方か。これが八年後に来る現実である。



<放置は自身をより苦しめる>

 例えば経団連は消費税につき既に二十㌫を提示している。今は十㌫に上げるか否かだが、倍増の負担の必要性を知っている。国民の消費の内、毎年二割を増え続けるシニアへの社会保障費に充てる。一生涯だ。既に四十歳以上は介護保険料を徴収されている。こちらは保険料による負担だが、その保険料が上がるのか、適用年齢を三十歳や二十歳にまで下げるのか。何にせよ、延命し続けるシニアが増えるので八年後までには現役世代の負担増は避けられない。


このままでは現役・子ども世代が疲弊する未来しかない。現役世代は働き方改革の下で現実的な能力を超えた労務を求められ、AI・ロボットの普及による離職圧力も迫る。そこに増税。子ども世代の内、人づくり革命でFランク以下の大学は無償化の恩恵を受ける事は難しい。今は奨学金という借金を二百万円背負った状態から社会人をスタートしている。六人に一人の相対的貧困の家庭数は八年で増加し、一生破れない“ガラスの天井”の下で生きる。増えた国債は何がしかで、その時の現役世代が負担する。


解決方法はある。尊厳死・安楽死を認める事と稼ぐ意欲の向上だ。前者はシニアに選択を与える。臨まない延命治療や孫への負担減という勇姿を選択できる。給付先の絶対数が減る。後者は現実逃避を止め、自身の所得を増やし、相対的な税負担を下げる。この現実逃避は未来を見ない事を指す。消費税が典型的だが、年収二百万円と年収一千万円以上では消費税の負担感が異なる。日々が奴隷にならない為に稼ぐ意欲を向上する。


三十年前、消費税はそもそも無かった。それより前の現役世代は消費税を収めなかった。後期高齢者は七百万人未満だった。五百万人未満でさえあった。シニアはとても少なかった。だが現在と未来は異なる。異なる以上、現役世代で対処しなければ、子ども世代に今より生き難い日々を押し付ける事になる。ビジネス・社会・政治への無頓着が何を意味するか。今は上の世代がつくってきた。十代から四十代は八年後になって考えるのか、今から考えるのか。今より生活難は絶対である。

(了)



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