政府提唱の賃上げ三㌫、経済界と四㌫を求める連合の反応

【社会報道】 平成二十九年十月二十六日に総理官邸にて、第十四回『経済財政諮問会議(議長:安倍晋三)/内閣府』が開かれた。経済・財政一体改革と賃金・可処分所得の継続的な改善・拡大について話し合われた。


 有識者議員の「東大」の伊藤元重(辛卯)名誉教授、日本総研の高橋進(癸巳)理事長とサントリーHDの新浪剛史(己亥)代取の三者は資料「三%の賃金引上げに向けて」を提出。来春の労使交渉において「賃上げは、多くの国民にとって不安やデフレマインドを払拭し、企業にとっても生産性向上の大きな誘因」として、物価上昇の先取りの形で定期昇給とベアや子育て世帯・専門技能への傾斜配分等で三㌫の賃上げ実現を期待した。


背景には経常利益が過去最高を続伸、現預金が過去最高、労働分配率は過去最低水準と投資対CF比が最低水準である点を提示した。


安倍議長は「賃上げは最早、企業に対する社会的要請であり、来春の労使交渉においては三㌫の賃上げが実現する様期待したい。」と述べ、政府は環境整備を進めて年末に策定する新経済政策パッケージに反映させる見込み。茂木敏充(乙未)経済財政政策大臣は同日に「設備投資の拡大についても、様々なインセンティブ、こういった物も必要であろう。」と賃上げ促進企業に対する優遇措置も示唆した。




<官製春闘の終焉を>

 経団連(会長:榊原定征)は、今回の三㌫賃上げに関するコメントは報道現在で出してない。経済同友会の小林喜光(丙戌)代表幹事は三十一日に連合(会長:神津里季生)の二㌫はベアのみで、政府側の三㌫には定期昇給やボーナス、ベアの合算とし、連合の要求の方が高い点を指摘。直近数年のベア実績は〇.五㌫で四倍の要求をしており、厳しい見方。「ここ四、五年続いている官製春闘を何時迄もやるのかと。労使の問題は労使が主体的にやるべきであり、資本主義社会の自由の世界では、それが正常な状況である。」と官製春闘を敬遠した。


 日本商工会議所(会頭:三村明夫)は十一月二日に政府に要望書「第四次安倍内閣に望む」を提出。賃上げの率には触れなかったが、「地方の中小企業からは最低賃金の上昇に苦慮する声が強いことから、賃金を円滑に底上げするための、生産性向上や取引条件の適正化に向けた取り組みを後押しすることが重要である。」と要望した。


 連合は一日と二日に東京・日暮里にて「二〇一八春季生活闘争中央討集会」を開催。神津会長(丙申)は「いまだにトリクルダウンの発想から抜け出ていないのではないでしょうか。賃上げ税制含めてお上が音頭をとれば世の中が素直に3%の賃上げに向かうということを指向しているようですが、そのような発想だけでは2014、2015のときと同じような格差拡大を繰り返すのではないでしょうか。」と官製春闘に警鐘を鳴らす。ベアで二㌫、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)で二㌫、計四㌫の賃上げを「連合東京・二〇一七春季生活闘争方針」で指し示している。


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