中華版『南北戦争』、中国が荒れ続ける理由(台湾有事=第三次「国共内戦」)

【政治・軍事考察】 台湾有事は日本有事。中共(総書記:習近平)による台湾進攻は、第三次「国共内戦」と言える。そう、彼らは未だ内戦中なのだ。


西の米国でも十九世紀「南北戦争」の再来を警戒する動きがある。この米中二つの大きな地政学に挟まれているのが、日本。現状を理解する為には、米中内戦を知る必要があるだろう。今回は先ず中国側から触れる。



<国共結成期>

 「二十世紀初頭は中国史上最悪の内乱時代」と黄文雄は書籍「中国・韓国が死んでも隠したい 本当は正しかった日本の戦争/徳間書店」にて言う。実は“日中戦争”というのは無く、本来は「支那事変」と日本政府は閣議決定。


支那とは特定の国を指す呼称ではなく、エリア名。“秦”が訛ったものとされている。戻ると、十八世紀「白蓮教の乱」から二十世紀「文化大革命」までの二百年間が、支那大陸における最悪内乱時代だ。以下の略年表を眺めてみよう。



  • 大正元(一九一二)年:大清帝国の滅亡、中華民国が成立、首都は南京→北京、孫文・袁世凱
  • 同八(一九一九)年:中国国民党が結成、孫文・蔣介石、現・台湾
  • 同十(一九二一)年:中国共産党が結成、毛沢東、現・中国
  • 国民党内戦;死傷者数は三千万人以上/七年(林語堂)
  • 同十一(一九二二)年:支那の一国多政府状態へ突入


日中戦争と呼べない理由が、この一国多政府。宣戦布告を以て国家間の戦争となるので、政府が乱立しては消えるので、日本が宣戦布告する相手方国家そのものが無かった。よって“戦争”の下位である“事変”。当時は泥沼の内戦下であり、まるで春秋戦国時代へ日本が巻き込まれた形が実情に即している。日本は支那と全面戦争をする気(メリット)が無かった。メリットがあったのは、戦後の発展から分かる通り、現・中共となる。



三政府期

  • 昭和二(一九二七)年~十一(一九三六)年:北京政府vs国民政府(国民党+共産党)から第一次『国共内戦』、中華版「南北戦争」
  • 同六(一九三一)年:満州事変、満洲国の建国
  • 同十二(一九三七)年:盧溝橋事件(シナ事変の発端)、日本による再三の和平交渉を蔣介石が拒否
  • 当時の支那の主要三政府:蒋介石「重慶政府(米英)」、毛沢東「延安政府(ソ連)」、国民党から分裂した汪兆銘「南京政府(日本)」、過去内はバックアップ国家


当時、三国同盟があったにも関わらず、ドイツは蒋介石「重慶政府」へ軍事的支援を行っていた事を北村稔と林思雲『日中戦争の「不都合な真実」/PHP文庫』にて理由と共に明瞭に説明している。二書共に「南京大虐殺」を論理的に否定。


支那の難しさは“中国人”と一括りにできない事だ。未だに上海人や北京人等と、自身達を“中国人”と心底思っている者は少ないだろう。それは多民族国家だからだ。黄は、支那にて戦争が絶えない理由を「南の長江文明北の黄河文明の対立とも言える。」と指し示した。事実、DNAは南北で異なる。




<もう一つの中国が成立・勝利>

 一つ前の大清帝国は満洲人(女真族)であり、歴史上では大元帝国等のモンゴル人も支那で王朝を開いた。支那では常に漢族が統治している訳ではない。そこで当時の大日本帝国は、満洲国にて「五族協和(大和族、漢族、満州族、蒙古族、朝鮮族)」を掲げ、支那大陸の平和を築こうとした。地政学的な緩衝地域。



  • 昭和二十一(一九四六)~三十(一九五五)年:第二次『国共内戦
  • 同二十四(一九四九)年:中華人民共和国の成立、現在に至る
  • 同二十五(一九五〇)年:中華民国は台湾遷都、現在に至る


日本は昭和四十七(一九七二)年に、中華人民共和国政府を“中国の唯一の合法政府”とした(日中共同声明)為、中華民国を台湾と呼称し続けている。先の中国が敗け、後の中国が勝った。普段、私達が使っている“中国”という呼び名は戦後からであって、以前は支那や王朝名(隋や唐)。



易姓革命こそ民主主義

 この流れで分かる通り、支那では大正時代から中国共産党(中共)と中国国民党(台湾)が争っている。日本では既に四元号目だ。国共内戦で平和条約等を締結してない為、終止符が打たれてないのが現状。そこで中共は台湾統一という成果が欲しい。強いて言うなれば、台湾を潰しておかねばならない。


何故ならば、支那には「易姓革命」が有史以来ずっと続いているからだ。中国人は革命こそ、民主主義と信じる。日本の天皇制は変わらないので民主主義ではない、と断ずる。中国人ならば「誰でも革命を起こす権利がある」となる。よって、支那は独自の民主主義観により革命に明け暮れる歴史だ。多くの人民は時の権力に忠実であるが故に、「避諱(ヒキ)/孔子」を重んじる。


この避諱とは支那では最も大切にしている事。権力者の偉大さを誇張し、権力者の都合が悪い事は人民自ら嘘で塗り固める、無かった事にする。理由は道徳教育と安定だ。それが素晴らしいモノと教え、革命が起きない内は安定した生活を享受できるからだ。中国人にとって嘘・偽りは、生きる為の基本と知っている。



中華版・第二次「南北戦争」

 この様な事実上の内戦状態や避諱を米国のエリートは勉強しているので、中共にも台湾にも肩入れしない。支那事変の経験より、日本もどちらか一方に肩入れしてはならない。国共内戦に巻き込まれない様にするのが、賢き選択だろう。その際、万一に台湾統一(台湾有事)となっても、中共を牽制できる(戦争させない)程の防衛力=軍事力が絶対条件となる。


端的には、中共の自壊を待つが得策であろう。歴史は繰り返す。中国の「七大軍区」次第の中共内乱(第二次「南北戦争(上海勢vs北京勢)」)は、既にカウントダウンが始まっていると見做せる。その間に日本は軍事力と経済力を蓄える。


中国の十都市では「負債比率」が五百㌫超、中国の「総債務(政府+企業+個人)」は二.二京円まで膨れ上がっていると経済評論家・朝香豊は記事『地方財政は完全に破綻…中国経済が「崩壊過程」に入ったと言えるこれだけの理由/講談社』にて試算した。


記事:金剛正臣

画像:北伐と国共分離/世界の歴史まっぷ、教科書には無いDNA解析で分かった古代日本人の起源〜後半〜/むすび大学


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