子ども・若者・若手が被害に遭いやすい「犯罪」|令和三年版『犯罪白書/法務省』

【社会考察】 法務省(大臣:古川禎久)は、令和四年一月二十八日に同三年版『犯罪白書』のPDFとHTMLを公開した。第六篇では「犯罪被害者」の統計と刑事司法における被害者への配慮を記した。


上図の通り、平成十四年以降は「人が被害者となった刑法犯(認知件数)」は大いに減っている。二十年前の平成十四年には、二百五十万件に迫っていたが、令和二年には五十万件を下回った。五分の一にまで収斂。男性の被害発生率は、常に女性の二倍以上。


米国では「凶悪犯罪(殺人・強制性交・強盗・加重暴行)」のみで推計百万件前後、「財産犯罪(侵入窃盗・窃盗・自動車盗・放火)」は推計七百万件前後。米国連邦捜査局(FBI)調べ。日米の人口比は凡そ、一対三。

中国では計五百万件前後。中国政府調べ。日中の人口比は凡そ、一対十一。



以下が、令和二年の被害者データ。

  • 強盗;二十代が最も被害者数が多かった。三百二十五人
  • 窃盗;二十代が最多の六万千四百七人
  • 強制性交等;二十代が最多の四百八十五人、十三歳~十九歳は四百二人、十三歳未満は百七十六人(内、三十六人が男児)
  • 強制わいせつ;二十代が最多の一千四百七十二人。次いで十三歳~十九歳、十三歳未満
  • 暴行・傷害;二十代が最多の一万四百十二人。次いで三十代、四十代
  • 略取誘拐・人身売買;十三歳~十九歳が最多の百六十四人(内、九割が女子)。次いで十三歳未満、二十代


財産の被害総額は、一千二百六十七億円。内、現金被害額は八百七十億円。「詐欺」が全体の五割を占め、次いで「窃盗」が四割。



警戒すべき世代

 以上より、如何に二十代以下が被害に遭い易いかが分かる。前日の記事に掲載した検挙人員の「年齢層別」を視ると、「脱ゆとり世代」以下が優秀と言える。二十歳未満の人口は、二十年前よりも四分の一になった訳ではないからだ。注意すべきは「ゆとり世代」「プレッシャ世代」「氷河期世代」。割合が一部で増加している。


警戒すべきは「バブル世代」以上。二十年前よりも検挙人員が五分の一になったにも関わらず、検挙割合が倍増している。脱ゆとり世代以下の倫理観(社会性)とは雲泥の差。統計データから予め身を守る事もできる。


=強制性交等・強制わいせつに係る法改正=

平成二十九年に改正『刑法』が成立・施行。


  1. 従来の「強姦」が「強制性交等」に。被害者の性別を問わない。性交(姦淫)に加えて「肛門性交」及び「口腔性交」も対象。法定刑の下限を引上げ(懲役三年→五年、同罪に係る「致死傷」は同五年→六年)
  2. 「監護者わいせつ・監護者性交等」を新設。十八歳未満の者を監護者によるわいせつ行為や性交等を処罰。法定刑は前項に同じ
  3. 「強盗強姦罪」の構成要件の見直し。「強盗」と「強制性交等」を同一機会に行った場合は、その先後を問わず、無期又は七年以上の懲役
  4. 強姦罪等の非・親告罪化。被害者による告訴が無くとも、検察は公訴提起できる

画像:令和三年版「犯罪白書・法務省」

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