日比『外務・防衛閣僚会合(2+2)共同声明』、東南アジアで欠かせない存在に

【軍事報道】 岸田総理は、令和四年四月八日に総理大臣官邸にてフィリピン共和国(統領:ロドリゴ・ドゥテルテ)のテオドロ・ロクシン(戊子)外務大臣及びデルフィン・ロレンザーナ(同)国防大臣による表敬を受けた。

翌九日に日比『外務・防衛閣僚会合(2+2)共同声明』を発出した。


三月二十八日には米比が過去最大規模の合同軍事演習を始めた。比は南シナ海において重要な軍事拠点であり、日中等の海底ケーブルのハブでもある。「インド太平洋地域」及び陸海空に付加された宙情電の安保上、日本にとって比は東南アジアで最重要なパートナである。上図はEAC-C2Cケーブル図。



<日比の防衛能力を増大>

 日比共同声明では、二国間の戦略的パートナーシップの更なる十年に向けた基礎を築いていくに相応しい取組みであるとの見解を表明。


閣僚は「共通の利益」並びに「自由・民主主義・法の支配・人権の尊重・自由で開かれた経済」という共有価値に基づき、二国間の戦略的パートナーシップを更に強化していくとのコミットメントを再確認した。閣僚は一層厳しさを増す安保環境に鑑み、二国間の対話を強化する必要性を強調した。


両国の防衛能力を増大させ、防衛関係全体を更に強化する事を決意。自衛隊と比軍との間の訓練等の協力を更に強化する。米国との同盟及び地域のパートナ国との協力強化の重要性も強調。


「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」と「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」が基本的な原則を共有している事も再確認。比は、最大級巡視船の日本からの調達を含む「海上法執行能力」の強化を歓迎した。


日本は、比による「南シナ海」における不法な海洋権益に関する主張・軍事化・威圧的な活動・武力による威嚇又は行使への長年に亘る反対に同意(中国が念頭)。南シナ海に関する平成二十八年の仲裁判断「中国全面敗訴」への支持を表明した。比は、南シナ海に関する仲裁判断は最終的、且つ法的拘束力を有するものである事を強調した。

但し、本仲裁判断は、南シナ海に浮かぶ「島嶼」に対する主権の問題や二国間の「海洋境界画定」の問題には触れない事を明言している。



経済安保とASEAN

 閣僚は、比の南西に位置する「スールー海」「セレベス海」と周辺地域の重要性を確認し、海洋の連結性・安全・インフラ整備・人材育成等の分野における協力の強化で一致した。


日本は、ASEAN(東南アジア諸国連合)の一体性と中心性に対する揺るぎない支持を再確認。閣僚は、令和五年の「日ASEAN友好協力 五十周年」が、日本とASEANが共同で将来の協力の為の指針を示す良い機会となるとの見解を共有し、同年の日本での「日ASEAN特別首脳会議」を機に、日ASEAN関係を新たな高みに引上げる事を期待した。


閣僚は、安保と経済の間の横断的な影響に鑑み、経済安保を促進する上での二国間協力を強化する事を決定。政治的目的を達成する為の経済的威圧に対する懸念と強い反対を表明し、『国際法』に基づく経済秩序の重要性を強調し、経済的威圧に対処する為の緊密な連携の重要性を強調した。


閣僚は、連合国「安保理事会」を含むシステム改革の緊急性を改めて表明。日本の閣僚は、将来の安全保障理事会における常任理事国入りへの取組みに対する比の支持に謝意を表明した。



調査レポート「二〇五〇年の世界/PwC」にて、購買力平価(PPP)GDPで日本は平成二十八年・四位から令和三十二年・八位との下落予測だが、比は二十八位から韓国に次ぐ十九位に上昇。実に四倍のGDPとの予測だ。インドが二位、インドネシアは四位、ベトナムは二十位の予測。


画像:総理大臣官邸、Submarine Cable Map/TeleGeography、フィリピンの物流/加藤運輸

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