自動車業界は現金支払いに切り替え、他業種は一割から三割程度

【ビジネス報道】 平成二十九年十二月二十一日に中小企業庁/経産省は、「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン、二十八年公表)」に基づいた各業界団体の自主行動計画につき、団体自らフォローアップ(FU)調査を実施した結果を取り纏めた。併せて、四月から開始した取引調査員(下請Gメン)によるヒアリング調査の結果も取り纏めた。


FU調査は九月から十一月に掛けて実施した。自主行動計画策定団体の内、経産省所管の六業種十八団体が同庁に報告。各団体所属の会員企業七千社に調査票を発送して一千七百五十二社から回答があった。三割弱の回答率。


「自動車・自動車部品」業界では世耕プラン重点三課題(原価低減要請、型管理、支払条件)につき、他業界に先駆けて積極的な取組みが浸透。特に、支払条件の改善が自動車セットメーカー八社が全て現金支払いに切り替えた。自動車部品企業(ティア1~2;全て現金受取り 二割強)と素形材関係企業(ティア1~4;全て現金受取り 一割強)の間でも現金取引が浸透しつつある。自動車セットメーカーの現金支払いに比べて自動車部品企業の現金受取りの比率が低いのは、ティア2以降の現金化のボトルネック要因と同庁が推察。大企業間取引での手形使用が改善されていない事を起因とした。


「建機」「電機・情報通信機器」「繊維」等の業界も改善に向けた取組みに着手しているが、発注側大企業の全て現金支払いは未だ一割から三割程度に止まっており、「自動車」業界と比較すると手形を多用している状況だ。



分割支払いの改善要求

 八十名を配置した下請Gメンのヒアリング調査は、二千四十社の下請中小企業を訪問(十月末時点)。 三割弱で先の重点三課題の具体的改善事例を確認した。手形支払いの現金化等の支払い条件の改善は三百件超と顕著だった。原価低減や型管理の改善に向けた動きも各百件前後を確認。


他方、「自主行動計画のFU調査」結果と突き合わせると、原価低減要請の一部に口頭要請の事例が散見。  型管理は一部に改善事例も見られるが、ティア2以降で未だ改善が浸透しているとは言い難いとした。手形の現金支払いは、ティア3から4の一部に広がりつつあるが広く浸透するまでには至ってない。また自動車と比べて他業種の動きが鈍いのも特徴的だ。親事業者からの金型代金の支払いが二十四回から三十六回(二年から三年)の分割支払いや部品価格の上乗せで回収となっている為、改善要求が多数となった。 



 

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