【経済・金融報道】 令和四年五月十五日に武者リサーチ・武者陵司(己丑)代取は、動画『財務省と日銀が国民生活を踏みにじる/ワック』にて産業・金融両面の為替の利益が在る点に言及した。経済アナリストの武者代取は、ドイツ証券の副会長等を歴任。
「産業(ローカル)の為替の利益」と「金融(グローバル)の為替の利益」が、相反する(=トレードオフの関係)。
メディアにて“悪い円安”を謳う論者に対し、「殆ど分かってないと思うんですよね。学者やエコノミスト、或いは(金融)当局も庶民感覚のレベルでしかものを見てないと思うんですね。」と断じた。報道現在の円安驀進は大いなる好機であり、「大局的に観て為替がその国の運命を決める、という様な認識・緊張感は殆どの人が持ってないと思います。若いジャーナリストやエコノミストは、そんな想像してないんじゃないかなと思います。」と述べた。
<大英帝国の失敗>
代取は大英帝国の例を挙げた。強いポンドを使って世界の四分の一を支配した。これは「(英国内の)金融業界の利益なんですよね。金融業界にとっては、強い通貨が良い訳です。」と英国の投資に着眼。併し、その強いポンド(金本位体制)のせいで英国内の産業が衰弱。ドル安・米国とマルク安・独国が産業力を増強し、英国を抜いた。
- 第一次大戦前;一㍀=四.八六㌦の固定為替レート(一㌦≒二円)
- 第二次大戦開始;一㍀=四.〇三㌦の固定為替レート(一㌦≒四円)
大英帝国の衰退を「産業の利益ではなしに、金融の利益に即して強い通貨が続けられた、という要素が大きかったと思いますね。」と語った。重ねて「金融政策・通貨政策は、国の将来の在り方、或いは成り立ちを決める非常に重要な土台なんだ、と言えると思いますね。」と強調した。
また、財務省についても言及。「かなり財務省は嘘を言っていると思うんですけれども、嘘を言いながら、不必要な恐怖感を国民に与えて、増税を認めさせたり、財政支出を削減させる。経済においてデフレ効果を起こす様な世論誘導して。多くの学者が殆ど騙されているんですよ。」と財務官僚の罪を問うた。その行動理由は財務省の省益と。
半導体に復活の兆し、米国は円安容認か
四十年前に代取は、半導体のアナリストだった。当時の日本半導体は世界最強。半導体に関し、「日本に欠けているのは最先端技術。」と。台TSMC(2330.TW)の世界最先端の技術が九州に来る。同社は、子会社を以て熊本に新工場を建設し、同六年末に生産開始予定だ。当該子会社へSONY・デンソーが五百七十億円・四百億円の出資。TSMC自体は一兆円の設備投資を行う。
日本の半導体の周辺技術は圧倒的で、材料は六割、製造装置が三割強のシェア。日台協力により、「(日本が)半導体強国として復活していく又と無いチャンス。そういう局面で一㌦百三十円の円安。神風と言って良い様な僥倖。」と述べた。
代取の新著は『「安いニッポン」が日本を大復活させる!/同』。Amazon「日本の経済事情(一般)関連書籍」にてベストセラー。三月に発刊。昭和「高度経済成長期」に米国は日本叩きを行い始め、超円高となった。結果、平成に至っても円高傾向が続き、半導体等も凋落。今回は、中国がいる為に米国は日本の円安を看過中。これが好機と言う。
記事:金剛正臣
画像:【武者陵司】財務省と日銀が国民生活を踏みにじる/ワック、戦間期日本の為替レート変動と輸出/畑瀬真理子、基本通貨の交替/中村建、「安いニッポン」が日本を大復活させる!/ワック、【FXの歴史】為替や円相場を年表などで詳しく解説
0コメント