日米首脳会談の成果

【政治・経済・軍事報道】 令和四年五月二十三日に「迎賓館 赤坂離宮」にて岸田文雄(丁酉)内閣総理大臣とジョセフ・バイデン(壬午)米統領は、『日米共同記者会見』を行った。同日に日米首脳共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化(八頁)」を発出。併せて「日米競争力・強靱性(コア)」と「日米気候」の両パートナーシップ ファクトシートも発出した。


総理は、日本の防衛力の抜本的強化(防衛費増)を統領へ表明し、強い支持を得た。統領によるインド太平洋経済枠組み「IPEF」の立上げを歓迎しつつも、「日本としては戦略的な観点から、米国がTPP(環太平洋パートナーシップ)に復帰する事を期待しています。」と会見で述べた。日本はIPEFに参加する。


新しい資本主義に対しては、統領から改めて力強い支持を得、統領と協力して「主要国に共通する経済政策の大きな潮流を作っていきたいと思っています。」と、総理は世界経済のトレンドを牽引したい。


また、連合国(国連)改革・強化の必要性を統領へ伝え、統領は賛意。「改革された(連合国の)安保理において日本が常任理事国になる事を支持するとの表明がありました。」と伝えた。大日本帝国は、連合国の前身である国際連盟発足時の常任理事国だった。


今回の会談の成果は本共同声明。「この声明は、現下のウクライナ情勢やインド太平洋の戦略的重要性を念頭に置きつつ、自由で開かれた国際秩序の維持・発展を目指す日米の共同戦略です。」と岸田総理は語気を強めた。



一方、バイデン統領は、米「疫病対策センタCDC、所長:ロシェル・ワレンスキー)」の日本事務所を新設する事を表明。米国での新型コロナウイルス対策における中心的な存在は、米「国立アレルギ・感染症研究所」アンソニー・ファウチ(庚辰)所長。同研究所は、米「国立衛生研究所(NIH)」を構成する一つ。政府組織のCDCとNIHは連携している。


十八日にファウチ所長(画像上)は、NHKのインタビュに応じ、今後により幅広い年代の人にも更なるワクチンの追加接種が必要になるという見方を示めしていた。


尚、ファウチ所長の暴露本「The Real Anthony Fauci: Bill Gates, Big Pharma, and the Global War on Democracy and Public Health (Children’s Health Defense)/Skyhorse」は、米アマゾンの全書籍の中で長く一位を獲得している。


著者のロバート・F・ケネディ・ジュニア(甲午)弁護士は、ワクチン反対派。ジョン・F・ケネディ(丁巳)元統領の甥に当たる。日本語訳の出版は年内の見込み。


日米首脳共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化」


  • 今日、日米両国は歴史上、嘗(カツ)てない程、強固で深いパートナーシップを確認
  • 日米関係は、自由で開かれたインド太平洋地域のとなるものである
  • 日米両国は、ルールに基づく国際秩序は不可分であり、如何なる場所における国際法及び自由で公正な経済秩序に対する脅威も、あらゆる場所において我々の価値と利益に対する挑戦となる事を確 認
  • バイデン統領は、改革された国連安全保障理事会において日本が常任理事国となる事へ改めて支持を表明



「自由で開かれたインド太平洋」の推進


  1. ASEANの一体性・中心性の重要性を確認
  2. クアッド、AUKAS等の多国間フォーラムの重要な取組みを強調



地域情勢

  1. 中国へ、国際社会と共に鳥国における露国の行動を明確に非難する様に求めた
  2. 中国を念頭に、『連合国 海洋法条約』に整合した形で、法の支配に対する確固たるコミットメントを強調(航行・上空飛行の自由を含む)
  3. 国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である「台湾海峡」の平和と安定の重要性を改めて強調
  4. 韓国の新政権発足を歓迎
  5. ミャンマーにおけるクーデタとミャンマー軍による市民への残虐な攻撃を非難。暴力の即時停止、不当拘束者の解放、国全体への人道アクセスと民主主義への早期回復を強く求める行動を取続ける事にコミット



日米同盟


  1. 総理は、国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する決意を表明(ミサイルに対抗する能力を含む)
  2. 総理は、日本の防衛力を抜本的に強化し、「防衛費」の相当な増額を確保する決意を表明。統領は強く支持
  3. 統領は、『日米安保条約』第五条が「尖閣諸島」に適用されると改めて確認
  4. サイバ宇宙領域と新興技術の分野における協力を加速させる事を決定
  5. 在日米軍」再編を着実に実施する事を確認(米「海兵隊」の沖縄からグアムへの移転を含む)



より強靭で持続可能かつ包摂的な経済成長の実現

  1. 国際社会にとって最も顕著な課題に対処する上で、日米両国が積極的な役割を果たすという決意を表明(新技術の出現や気候変動の影響、感染症等の脅威)
  2. 日米両国が「重要技術(輸出管理の活用を通じたものを含む)」を保護し、育成し、各競争優位を支援し、サプライチェーンの強靱性を確保する為の協力を確認
  3. 半導体協力 基本原則」に基づき、次世代半導体の開発を検討する為の「共同タスクフォース」の設立で一致
  4. 昨年発表の「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」 の作業を賞賛(ファクトシート)
  5. 日米『経済政策 協議委(経済版「2+2」)』を七月に開催
  6. 「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を実施する事の重要性を再確認。G7等と協力し、世界のインフラ需要を満たす為の取組みをより一層推進していく事を確認
  7. アジアのパートナへ、エネルギ安保を強化する為の支援を提供する取組みを探求する事で一致



地球規模課題(人間安保)


  1. ワクチンへの公平なアクセスを向上させる為、COVAXを通じた支援及び「ラスト・ワンマイル支援」計画の為の支援を行い、治療・診断・保健システムの強化に共に取組む事を確認
  2. グローバルヘルス・アーキテクチャ」を強化する必要性を確認(WHO改革、世界銀行における新たなパンデミックへの備え、世界健康安保の為の基金設立、財政当局と保健当局との間の連携体制の強化によるものを含む)
  3. 日米「気候パートナーシップ」の下での協力を強化する意思を確認(ファクトシート)
  4. 二酸化炭素を排出しない「電力」と産業用の熱の重要且つ高信頼性の供給源「原子力」の重要性を認識
  5. 原子力協力を拡大し、輸出促進とキャパシティ・ビルディングの手段を共同で用い、「革新原子炉」及び「小型モジュール炉(SMR)」の開発・世界展開を加速させる事にコミット
  6. より強靭な原子力サプライチェーン」構築の為に協力する事で一致(ウラン燃料を含む)
  7. 「核兵器の無い世界」に向け、協働する意志を改めて確認
  8. 「核兵器 不拡散条約(NPT)」強化へのコミットメントを確認



人的交流

  1. 「自由で開かれたインド太平洋」を推進する次世代のリーダ育成の為、相互交流・協力の重要性を強調
  2. 研究者・実務家が参加するフェローシップや協働事業等、様々な交流を再開・拡充する事で一致(各種留学プログラム、JETプログラム、カケハシ・プロジェクト、トモダチ・イニシアティブ、マンスフィールド研修計画、国際交流基金等が実施するものを含む)
  3. 将来の日米協力に次世代の日系米国人リーダを参画させていく事で一致
  4. 人的交流における日米「文化教育 交流会議(カルコン)」の役割を再確認




未来志向の日米関係の構築に向けて


 民主主義的な二大経済大国として、日米両国は民主的な価値、規範及び原則を支持し、平和、繁栄及び自由が確保される未来へのビジョンを推進するという独自の義務を負っている。


岸田総理及びバイデン統領は、共にこの責任を引受けた。両首脳は、令和五年に日本がG7の議長国を務め、米国がAPECを主催する事に留意しつつ、この共通のビジョンを推進する為に、志を同じ くするパートナとの連合を構築する事の重要性を確認した。


日本語訳:外務省

写真:総理大臣官邸、米ファウチ博士 “今後幅広い年代にワクチン追加接種が必要”/NHK

0コメント

  • 1000 / 1000