“戦略的がまん”のススメ

【人生考察】 若者・若手はむやみやたらに“我慢”をし過ぎているかもしれません。もし、そうであるのならば、自身の人生を袋小路に追い込む事になるでしょう。精神に良くないので、“戦略的がまん”を勧めます。


先ずは、類義語も含めて意味を確認します。全て岩波「国語辞典」第七版新版。


=我慢=

① 辛い事を耐え忍ぶ事。
② 〔仏〕自分を偉いと立てる(我が儘な)慢心。
③ (無理も承知で)我が儘を通す様。


=辛抱=

辛さを(かなり長期間)じっと我慢する、また、辛い仕事をじっと耐えて勤める事。


=忍耐=

辛さ・苦しさ・怒りを、じっと我慢する事。耐え忍ぶ事。



<煩悩の種類>

 現代日本の意味では三語に大差ガありません。人は一体、何を我慢しているのか。通常、人は“煩悩”と“五欲”を我慢してます。煩悩から。大晦日「除夜の鐘」では百八つの煩悩を祓(ハラ)います。仏教の煩悩の数は非常に多いのですが、例えば以下の「根本煩悩」があります。


  1. 貪(トン);愛着する事
  2. 瞋(ジン);怒る事
  3. 癡(チ);道理に暗く、愚かな事
  4. 慢(マン);驕り高ぶる事
  5. 疑(ギ);法を信ぜず、躊躇する事
  6. 見(ケン);邪悪な考えに執着する事


一ならば、ペットを愛する事等があります。仕事が忙しく、ペットと遊ぶ時間が無いと我慢となります。二は分かり易く、何かへ怒る事を我慢しています。



欲の種類

 以下が五感(五境)に対する五欲です。

  1. 色(シキ)=眼(ゲン)
  2. 声 (ショウ)=耳(ニ)
  3. 香(コウ)=鼻(ビ)
  4. 味(ミ)=舌(ゼツ)
  5. 触(ソク) =身体(シン)


ないし、

  1. 財欲
  2. 色欲;性等
  3. 飲食(オンジキ)欲
  4. 名誉欲
  5. 睡眠欲


こちらの五欲は分かり易いでしょう。一般的な我慢する対象です。仏教では「煩悩即菩提(ボンノウ ソク ボダイ)」という言葉があります。迷いである“煩悩”は悟りである“菩提”に繋がる、という意味です。仏教の中の「日蓮宗」では、ゼロ煩悩・ゼロ五欲を目指してません。むしろ煩悩と五欲の利活用を推進しています。




<所得較差が縮小傾向>

 一定の知識を得たので、現実データを視ます。令和四年六月二十八日に現代ビジネス/講談社は、第一生命「経済研究所」永濱利廣(辛亥)首席エコノミストの記事『日本にまん延しているのは「格差」ではなく「格差感」』を配信しました。


家計調査/統計局から、「年収二百万円未満」世帯が増加傾向にあり、同時に「年収一千五百万円以上」世帯は減っている、と言います。令和二年は後者が増加。併せて、「ジニ係数(所得分配の平等・不平等を示す指数)」も平成後期より下がっており、所得較差が縮まっていると。事実は較差縮小。


永濱エコノミストは「目立った新しい産業も生まれず、『低所得・低物価・低金利・低成長』が続く」と主張しています。日本ではマインド的な“格差感”が蔓延している、という事です。



シニアが我慢する=需要が減る

 経済は“需要”が無いと回りません。日本では「需給ギャップ(需要-供給)」がマイナス十兆円単位で開いている、と国会で議論されていました。それを埋める為に国債発行(お金を刷る事)が必要なのです。


需要がマイナスという事は、日本人の多くが我慢をしている事に他なりません。政府が国債発行をしてくれないと、未来が暗そうな現状では貯蓄に勤しみ、ひたすら我慢をします。


皆が我慢をし過ぎると、経済の需要は更に下がり、供給は細ります。賃下げです。日本の預貯金の主体はシニアなので、シニアの需要を喚起する事が重要です。ここが若者・若手の仕事でしょう。政治団体「参政党」は政治需要を一部、埋めたので数億円の資金をCFで集める事に成功しました。




我慢の解放

 では、貯蓄の乏しい若者・若手は何の我慢を解放した方が良いでしょうか。乏しい金銭ではありません。先日の記事『個人の「現預金」を増大させる三つの貯金』で示した通り、頭・心・体の貯蓄を増大させます。


これは詰まり、頭心体の我慢を解き放つ事を意味します。当然、法を犯さない範囲です。法は守ります。現代の若者・若手は中堅・シニアの枠組みに囚われて“無難”を選択し続けています。その結果、萎縮し続けてはいないでしょうか。成果は預貯金で判断できます。


コロナ対策により、日本は世界で“最も自由な国家”である事を証明できたのではないでしょうか。過度な我慢は、頭心体に悪影響を及ぼします。我慢をするならば、漫然と我慢するのではなく、戦略的に我慢をしましょう。


これは「受動的な我慢」か、「能動的な我慢」かに近いです。受動的な我慢を“辛抱”、能動的な我慢を“忍耐”と区分けしてみましょう。辛抱を減らし、忍耐を増やす。目標額の貯金は忍耐です。この様に戦略的な我慢=忍耐と区分けする事により、不用・無用な我慢=辛抱を見定め、減少させる事ができます。


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