【ビジネス報道】 令和四年七月十一日にオンラインにて「健康経営」睡眠サービスを展開しているニューロスペース(代取:小林孝徳)は、『睡眠シンポジウム 二〇二二』を開催した。
本シンポでは「慶大」商学部・山本勲(庚戌)教授、同社・小林代取(丁卯)、「楽天グループ」小林正忠(辛亥)取締役、「銚子丸」石田満(丙申)代取と「ワーク・ライフバランス」小室淑恵(乙卯)代取の計五名が登壇した。
五月に山本教授は、社員の睡眠の時間・質を確保している企業は「利益率」が高いという論文を発表。上場企業七百社を対象とした。
<経済損失は十五兆円/年>
ニューロ・小林代取は「これは驚異的なんですね。何故ならば、これまで睡眠時間の確保は“生産性の敵”だとされていたからです。」と事実誤認を指摘。同社は大手百社超・二万人超のビジネスマンの睡眠改善を支援してきた(報道現在)。「ゆとり世代」である代取自体が睡眠障害を患っていた。
睡眠問題による経済損失は、十五兆円/年。日本では毎年GDPの三㌫分を損失している(米ランド研究所調べ)。「睡眠時間調査/OECD」では日本が七時間二十二分で最下位。「就労者の睡眠時間の国際比較/厚労省」でも日本は最下位。
「睡眠負債実態調査/同社」では、七割のビジネスマンが睡眠に不安があり、理想現実ギャップは一~二時間程に生じている。女性の方の不満が高く、特に三十代女性(ゆとり世代)の九割が睡眠に不満を感じている。女性の睡眠時間は「五時間」と「六時間半」で二極化。
睡眠パフォーマンスの統計データ
「労働経済学」が専門の山本教授は、日本で睡眠が軽んじられる理由に「社会科学分野でのエビデンス(証拠)が足りないのではないか。」とビジネスと睡眠の研究の重要性を伝えた。新論文は企業毎に統計を採った。
最上図の「睡眠時間」につき、教授は“バラつき”を最重要視。上位一割と下位一割で一時間の差があり、勤める企業によって睡眠時間が異なる点を説明した。上図の「睡眠の質」につき、上位一割と下位一割で二段階の差があり、睡眠時間と同様に企業によって質も変わる点が判明した。
上二図の横軸は睡眠時間の長さ(睡眠が長い企業)。全てが右肩上がりの棒グラフから「睡眠時間が長い程、利益率が高くなる傾向が視てとれます。」と断じ、プラスの相関関係があった点を示した。特に質の「二年後の利益率」では、上位二割と下位二割の差は二倍ちかくになっている点に留意。
鍵は一日毎の睡眠
二千社以上もコンサルしてきたWLB・淑恵代取は、コンサル先の二割五分~七割の残業を減らしたにも関わらず、業績を下げなかった実績を有す。今回は「勤務間インターバル制度」を説明。以下が同制度のポイント。
- 少ない労働時間で業績↑
- 従業員のワーク・エンゲージメント↑
- 従業員家庭の出産数↑
- 離職率・メンタル疾患↓
淑恵代取は、「ブラック霞が関」等で永田町・霞が関に対し、数年前から睡眠の重要性を訴えていた。ハイムもその重要性を鑑み、都度、報じてきた。今回もコンサル先のケーススタディを複数紹介。
結果、働き方改革の成果は「月間残業時間」で管理しても業績は向上しないと。睡眠を重視したコンサル先では、「不定愁訴(未病状態の不調)」「疾病就業」が非常に低下し、業績が上がった点等を報告した。
そして「一日毎の睡眠が、どうやら鍵らしい。」と結論付けた。以下が結論のポイント。
- 従業員本人が自身の睡眠に高い意識と知識をもつ
- 上司・経営層が「睡眠は業績向上に直結する経営戦略」と理解し、闇雲な働き方改革から「一日毎の睡眠確保を実現する働き方に改革」へ脱皮
- 人事が「一日毎の睡眠を確保する制度」を自社に合った形で導入
スライド:山本勲、㈱ニューロスペース、㈱ワーク・ライフバランス
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