新東京へ新設の六路線、城南・城東が十余年後に一大エリアに

【社会考察】 平成三十年一月二十六日に小池百合子(壬辰)都知事は、定例会見で『本年度予算案』を発表した。一般会計の総額は七兆円で前年度比は一.三㌫の増となった。中でも新設の「鉄道新線建設等準備基金(仮称)」が新たな東京を形作る。初年度は六百二十億円だが、国交省や各鉄道事業者と費用分担を検討し、十二年後の新元号十一年の開業を睨む。原資は都が保有する東京メトロの株式配当だ。


本準備基金の対象は六路線。

  1. 羽田空港アクセス線(田町駅付近、東京テレポート、大井町―羽田空港)
  2. 新空港線(蒲田―京急蒲田)
  3. 有楽町線(豊洲―住吉)
  4. 大江戸線(光が丘―大泉学園町)
  5. 多摩都市モノレールの南北2区間



<ビジネス的インパクトが大>

 一は東京の空の玄関として、JR山手線・京浜東北線、東急大井町線、東京臨海高速鉄道りんかい線を羽田と繋ぐ。二も同じで羽田に繋ぐ。この二線はインバウンドやビジネス利用の要素が強く、沿線にビジネス拠点が発生するだろう。


そして三、四、五は居住拠点として大きなインパクトを与える。最大のインパクトは三だ。メトロ有楽町線・ゆりかもめ臨海線の豊洲とメトロ半蔵門線・都営新宿線の住吉を繋ぐ。結果、西は池袋から相互乗り入れが有力な半蔵門線のJR総武快速線の錦糸町及び各社の押上を繋ぐ事になる。有楽町線が羽田及び成田に連結する効果は甚大だ。


住吉から押上は半蔵門線で四分。先の一、二も当然に周辺エリアは需要が高まるが、相対的に城南よりも安い城東(墨田、江東)はより需要が高まるだろう。新線は五輪後の開業見込みで、その頃には選手村のある晴海(中央)エリアはタワーマンション等で六千戸を供給し、新たな街が形成される。都営大江戸線の勝どきかゆりかもめの新豊洲が最寄駅となる。この三エリアの中で最も安価なのが、現状では墨田と江東となる。


国がフリーランス(個人事業主)からの法人成りを後押ししている中期政策からみても、墨田と江東が東京屈指のSOHO拠点に成り得る。


西の二エリア

 五は鉄道空白地帯だ。沿線の街づくりも既に計画している。結果、新宿や汐留等と繋がる。果ては新座、清瀬、東所沢まで延伸したい。このエリアも新たな居住拠点となる。本延伸は東武東上線と西武池袋線に挟まれた形で並列しているので、JR武蔵野線の東所沢まで繋がった時に最大効果を発揮するだろう。


六は延伸北側「上北台―箱根ヶ崎間」と南側「多摩センター―町田間」の二区間。西側「多摩センター―八王子間」は据え置く。北側ではJR八高線の箱根ヶ崎を繋ぐ。南側では、京王相模原線・小田急多摩線も乗り入れる多摩センターとJR横浜線・小田急小田原線が乗り入れる町田を繋ぐ。結果的にモノレールは箱根ヶ崎から町田が南北に繋がる。


城南、城東、大泉学園、多摩が十余年後に変わる。それはビジネス系拠点としての新東京の大部分を担う。鉄道で大いに発展した日本・東京にとって重要な六路線だ。西の大丸有と東の日本橋兜町・茅場町を繋ぐ構想「国際金融都市・東京」よりも都民に密接。百合子都知事にとって、本準備基金の創設と国及び各鉄道事業者との折衝が最大の功績になるかもしれない。


画像引用: 都予算案、鉄道新設へ基金財政需要25年で15兆円増/日本経済新聞

記事:羽田野正法

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