【ビジネス考察】 令和四年七月十一日にニューロスペース(代取:小林孝徳)は、「睡眠シンポジウム 二〇二二」を開催した。既報。参考では『経営理念』が業績向上に寄与する点を伝えた。
五月に「慶大」商学部・山本勲(庚戌)教授が、社員の睡眠の時間・質を確保している企業は「利益率」が高いという論文を発表。上場企業七百社が対象。睡眠時間が上位二十㌫の企業は、下位二十㌫の企業よりも「ROS(利益率/売上高)」が一.八~二.〇程度⾼いと結論付けた。
睡眠を長く、質を良くする方法も分析。「働き方や人材マネジメント変えていく事が有用と分かってきます。」と述べ、因果推論として「残業時間が十時間/月短い」と「睡眠時間が約十一分/平日(約四時間/月)長い」とした。
以下がプラス要因。
- 在宅勤務
- 仕事の目的・役割の明確性
- 企業の正社員の女性比率
- 有給休暇の日数
以下がマイナス要因。
- 残業時間
- サービス残業時間
- 通勤時間
- 平均労働時間
<健康施策と業績>
参考として教授は、自身が携わった「健康経営銘柄と健康経営施策の効果分析(令和三年)/経済産業研究所」を説明。健康関連の施策と業績(アウトカム)の関係を検証したもの。結果は同施策の実施により、業績は向上。中でも、「経営理念の施策を充実すると、業績が良くなる。」と断じた(固定効果モデルの推計結果より)。
以下が「経営理念」の施策項目。
- 「従業員の健康保持・増進」についての明⽂化の有無
- 管理職と従業員に対し、研修等を通じて定期的に伝達
- 内容を記載した⽂書を常に携⾏できる様な形態で配布
- 従業員に対し、定期的な⽂書を通達
- 従業員に対し、経営トップ⾃ら理念・⽅針を定期的に伝える
- 従業員に対し、アンケートを実施して理解度を確認
- 従業員の健康保持・増進の統括について
- 全社における従業員の健康保持・増進の最⾼責任者の役職(CHO)
精度を高める為に欲するデータ群
教授は今後の研究に向け、組織単位でのエビデンスを欲した。産学連携の可能性を伝え、以下四点の部署単位での睡眠・健康・業績データを欲した。
- 健診データ
- エンゲージメント サーベイデータ
- 勤怠データ
- 業績指標データ
併せて「介入実験」も有用な研究ツール。実験例は「施策を早期実施した部署」vs「他部署」等。介入群と統制群の二Gの前後データを比較する。以下等が介入例。
- 睡眠改善プログラム実施
- 健康経営強化
- 働き⽅改⾰強化
- DX強化
- 技術導⼊(AI等)
スライド:山本勲
† 健康経営銘柄と健康経営施策の効果分析/経済産業研究所
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