「防衛力強化」へ民間からの提言|第十三回『経済財政諮問会議』

【政治・軍事・財政報道】 岸田総理(丁酉)は、令和四年十一月二日に総理大臣官邸にて第十三回『経済財政諮問会議』を開催。日本で最重要の本会議では、マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)等について議論を行った。


岸田総理は、「研究開発やインフラの官民連携を推進すると共に、防衛力に資する取組みを省庁横断的に一体的に取り扱い、政策資源の最大限の有効活用を図ります。また、防衛力強化の方向性を示す事で民間の予見可能性を高めると共に、新規参入や民間の先進技術の活用を促進し、我が国の防衛産業の基盤を強化して参ります。」と述べた。


民間議員(十倉雅和・中空麻奈・新浪剛史・柳川範之)は「成長の為の改革加速について」にて、これまでの経済対策を「下支えに一定の効果を発揮してきたが、供給面に働き掛けて成長力を引き上げる効果は限定的であった。」と分析。


併しながら、供給面の強化に向け、資源配分の効率性を高める観点を重要とする(サプライサイド経済学)。多年度に亘る将来投資の喚起や構造的賃上げの実現に「守りから攻めへの規制・制度改革等の構造改革を進めるべき。」とした。これは、「雇調金」や「ゼロゼロ融資」から「スタートアップ支援」や「投資・賃上げ促進」への転換を要望するもの。


<具体策>

 また、民間議員は「防衛力と経済基盤の一体強化に向けた防衛政策の方向性」を提言。防衛費の増強に当たり、「財政の持続可能性が防衛力の重要な基盤」とし、効果的・効率的な財政の使い方の徹底、防衛装備・技術の充実が我が国の民間活力の拡大にも相互に波及する取組み推進を重要とした。


提言は以下の四点。

  1. 基本的方向性
  2. 総合対応防衛費
  3. 防衛産業の基盤強化先進技術の積極導入
  4. 海外展開



一、基本的方向性

 歳出の効率化・合理化。費用対効果の高い装備品・R&D等を優先。防衛装備・技術の充実、民間の産業基盤・国際競争力の強化をWIN2に。

防衛力強化と「中長期的な財政健全化の方針」との両立(財政への信認確保等)。臣民の理解醸成。



二、総合対応と防衛費

 R&Dは「総合科学技術・イノベン会議(CSTI)」や防衛省、大学、国立研究開発法人等が連携し、デュアルユース(民生・防衛両用)の可能性を排除しない。研究成果につき、デュアルユースの利用可能性をチェックすべき。

インフラは、平時から国交省と防衛省とが共同整備し、活用可能な連携の枠組みを構築すべき。防衛省の予算だけでなく、日本の防衛力に資する取組みを省庁横断的に精査し、一体的に。

防衛費の増額には、経済状況等にも配慮する(投資・所得の向上を含む)。本来的には臣民全体で能力に応じて広く負担すべきもの(増税可能性)。



三、防衛産業の基盤強化と先進技術の積極導入

 次期『国家安保戦略』等を踏まえ、生産・技術基盤の分野でも民意を聴取し、 既存の計画「防衛生産・技術基盤戦略」や「防衛技術戦略」等を見直すべき。

その際、「ロジックモデル」や「KPI」を設定。進捗を定期的に点検し、PDCAサイクルを強化すべき。

「防衛装備品の調達」は、仕様の共通化や一括調達を更に進め、企業の適正な利益の確保を図るべき。「政府側ニーズ」と「技術シーズ」のマッチングシステムを構築すべき(米・国防総省「DIU」の取組み等を参考)。



四、海外展開

 同盟国・友好国向けの防衛装備品の移転は、政府主導で官民が連携して促進していくべき。生産の国内回帰を進める為に、協力企業が輸出で稼げる様に支援する事が重要。

円安メリットの活用に加え、サプライチェーンの見直しに係る支援やGX・DX投資への支援を一体的に展開すべき。


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