海外で売れる為には、成功する為には|若手デザイナー支援コンソーシアム設立記念

【高級ファッション報道】 FW中に経産省(大臣:世耕弘成)と日本貿易振興機構(ジェトロ、理事長:石毛博行)は『若手デザイナー支援コンソーシアム設立記念トークセッション』を開催(既報)。


トークセッション「海外を目指す若手デザイナーに求められるもの」ではWWDジャパンの向千鶴 編集長、三越伊勢丹HDの大西洋 前代取(写真上)、伊・ファッション界の権威であるイタリアン バイヤー協会のクラウディオ・ベッティ副会長と米・VOGUEファッション ニュースライタのジャネール・オクモドゥの四名が要旨を語った。


始めに千鶴編集長は「ヒントを持ち帰って頂く四十分。」と話した。ベッティ副会長は同協会の説明をした。イタリアのラグジュアリのみで百二十企業が集まっており、店舗数は五百に上る(報道現在)。ECサイト「ザ・ベストショップ」では全店で二十億ユーロ/年商を叩き出す。日本円にして二千六百億円だ。国内ではビームスやユナイテッド アローズ等を組む。ジャネールはファッションの取材を日々、行っている。東京コレクションは今季で三回目。


四十年間に亘ってファッション界に携わっている大西前代取は「ファッションと文化が経済を支えていかないと。」と警鐘を鳴らし、「ベースにあるのは人材育成。」と問題点を指摘した。


海外で注目されて売れる為には、との問いにジャネール(写真上)は「各(国)マーケットが何を欲しているかを理解する事でグローバル ブランドになれる。」と答えた。併せてメディア向けにコレクションを紹介する事も伝えた。ベッティ副会長は人材育成を重要視し、「日本らしさが感じられるデザイン。その文化から息吹を感じたい。」と述べた。大西前代取はマーケットIn及びプロダクトOutを挙げ、「独自性を発信していくんだ。」とデザイナの自立を訴えた。


ブランドが成功するポイントも聴いた。ジャネールはデザイナ自身のタレント性とマネジメントを挙げた。後者ではプレゼンやクライアント ベースでの考え方、そして強化チームを強く推した。この強化チームとは財務等を含めた適材適所の事で、デザイナを中心としたブランドの経営・運営チームづくりが重要という事だ。ベッティ副会長(写真上)は、ここでも「日本というアイデンティティが欲しい。」と欧米系のコレクションではバイヤとして触手が動かない点を挙げ、デザイナ自身のはっきりしたビジョンを求めた。大西前代取は「成功レベルのイメージを持つ事。」とゴール設定を話した。


QAでは大西前代取が「経営がサイエンスに寄ると同質化する。」と一つのポイントを指し示した。


セッションで着眼したのは、コレクションのランウェイにて「観た人がわくわくしたか。」という発言。ランウェイショウを取材し続けて、興奮や感動を掻き立てるショウは多くない。当然に個人の価値感に左右される為、個々人で異なる。東京はプロダクトOutが強過ぎる。ターゲットが狭過ぎて売上高が伸びにくい。よりマーケットInを意識してデザイナ及び周辺チームはコレクションを発表した方が良いだろう。最近の日本人若手デザイナのルックに世界的経済性(共感性)を感じない。デザイナは排他的ではなく、正反対の嗜好を学んだ方が良いだろう。視野が広くなる。


撮影記事:金剛正臣

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