【日本・人生考察】　二千年以上続く日本国（ヤマトのクニ）は、天皇家を核に各時代の優れた大和民族の氏族達が護ってきた。今では世界最古の国家である。

ヤマトでは氏族の名を遺伝の面から大切にしてきた。平安時代には『新撰姓氏録（全三十巻）』にて一千百八十二氏姓を記録。姓（ｶﾊﾞﾈ）とは、天皇からヤマトに貢献する有力な氏族へ送った称号の事。皇族の「真人（ﾏﾋﾄ）」や皇族以外の最上位「朝臣（ｱｿﾝ、ｱｿﾐ）」等がある。

明治時代に近代化の為に「苗字必称義務令」が布告され、「最も祖先以来の苗字不分明の向は、新たに苗字を設くべし」と全臣民が家名を持った。家名は自己の祖先の事跡でもある。現在では明治時代以降の新家名も混じっているだろうが、自己の家名のルーツを知る事は大事であろう。

＜遺伝の科学＞

　女性＝ＸＸ染色体は「母のＸ染色体（ミトコンドリアＤＮＡ）」と「父のＸ染色体」が組み合わさっている。男性＝ＸＹ染色体は前者と「父のＹ染色体」が組み合わさっている。

遺伝子的に重要なのはＸ染色体であり、特に細胞の発電所『ミトコンドリア』が欠かせない。人間的な生命パワーそのもので、若さ細胞のソレだ。別個のミトコンドリア同士を融合すると、全面戦争を行って絶滅に向かうので、ミトコンドリアが無いＹ染色体が欠かせない。その役割は、安全な受精とＹ染色体の変異。

このＹ染色体の変異は「イノベーションの力」とも言えるだろう。

変異力が強すぎて自滅する事もある（不妊等）。遺伝で重要なのは、発電所を有すＸ染色体だが、実社会で重要なのは歴史をリードしてきたＹ染色体である。

複数の女性の合作

　では、Ｙ染色体とは何の価値があるのか？日本では強い（高発電の）Ｘ染色体を「豊」「姫（日女）」「巫女」等とネーミングしてきた。それらの力を『妹（ｲﾓ）の力』という。

その強いＸ染色体（α）を引き継ぐのが、娘・息子となる。娘が受け継いだαは有限であり、七代程度でα由来の遺伝子は消え去る。娘から下の世代が交配を重ねる為だ。

一方、αの息子の方は、母以上のα´を求める為、社会的な実力を付けていく。これに成功し続ければ、名家となり、「αに巡り合えない」「αより弱いＸ染色体を選ぶ」「息子が生まれない」と、社会的に弱い家に成り下がる。ないし途絶える。

男性とは、複数の女性の合作とも言えそうだ。

強いＸ染色体×強いＹ染色体

　強いＹ染色体をβとすれば、以上より、平安時代に「αを有すお家」と「βを有すお家」を纏めるべく姓氏録を作った。各姓氏の優劣は歴史的実績を確認する。

「真人」は、日本最高の御家である天皇家の血族。そもそも各天皇は政治家・軍事家でもあったので、αとβが確からしい。

然しながら、真人だからといって子孫が優秀か否かは判断できない（αの不足等）。真人に次ぐ「朝臣」以下のお家の方が歴史的結果を出している事も多々ある。

新撰姓氏録の対象は、京（左京・右京）と五畿（大和・山城・摂津・河内・和泉）。出自により「皇別・神別・諸蕃」に三分類。国別で「天神・天孫（日神）・地祇」に三分類している。皇別は全三百三十五氏。内、平安時代の最高貴族である皇別「真人」四十氏を記す。後に「朝臣」。重複氏は除く。

それ以外の氏族は最下部を参照。

真人

左京

1. 息長氏
2. 山道氏
   
3. 坂田酒人氏
   
4. 八多氏（羽田氏、波多氏）
   
5. 三国氏
6. 路氏
7. 守山氏
   
8. 甘南備氏
   
9. 飛多氏
   
10. 英多氏
    
11. 大宅氏
    
12. 大原氏
13. 島根氏
    
14. 豊国氏
    
15. 山於氏（山上氏）
    
16. 吉野氏
17. 桑田氏
18. 池上氏
19. 海上氏
    
20. 清原氏
    
21. 香山氏
    
22. 登美氏
    
23. 蜷淵氏
    
24. 三島氏
25. 淡海氏
    
26. 三園氏
    
27. 笠原氏
    
28. 高階氏
    
29. 氷上氏
    
30. 岡氏

右京

1. 坂田氏
   
2. 多治氏（多治比氏）
3. 為名氏（猪名氏、威奈氏、偉那氏）
   
4. 春日氏
5. 高額氏
   
6. 当麻氏（当摩氏）
   
7. 文室氏
   
8. 豊野氏

大和国

1. 酒人氏

摂津国

1. 為奈氏

朝臣

左京

1. 源氏
2. 良岑氏
   
3. 長岡氏
4. 広根氏
   
5. 春原氏
   
6. 三原氏
   
7. 永原氏
   
8. 橘氏（立花氏）
9. 淡海氏
   
10. 阿倍氏（安倍氏）
    
11. 布勢氏
    
12. 完人氏（宍人氏）
    
13. 高橋氏
14. 許曽倍氏（巨曾倍氏）
    
15. 石川氏
16. 田口氏
17. 桜井氏
18. 紀氏
19. 角氏
20. 坂本氏
21. 林氏
22. 道守氏
23. 雀部氏
    
24. 箭口氏
    
25. 多氏
26. 吉備氏
    
27. 下道氏
28. 御使氏（三使氏）
    
29. 犬上氏
    
30. 大春日氏
    
31. 小野氏
32. 和安部氏
    
33. 下毛野氏
    
34. 上毛野氏
    
35. 池田氏
36. 住吉氏
37. 池原氏
38. 上毛野坂本氏
    
39. 葛城氏
    

右京

1. 巨勢氏
   
2. 巨勢楲田氏
   
3. 平群氏
   
4. 平群文室氏
   
5. 都保氏
   
6. 高向氏
   
7. 田中氏
8. 小治田氏
   
9. 川辺氏
   
10. 岸田氏
11. 久米氏
12. 御炊氏
    
13. 玉手氏
    
14. 佐味氏
    
15. 大野氏
16. 若桜部氏
    
17. 他田広瀬氏
    
18. 栗田氏
    
19. 和気氏
    
20. 阿保氏
    
21. 笠氏
22. 高円氏
    
23. 日置氏
    

大和国

1. 星川氏
2. 柿下氏

摂津国

1. 雀部氏

河内国

1. 阿閇氏
2. 山口氏

記事：金剛正臣

画像：新撰姓氏録／国立国会図書館、がん細胞とミトコンドリア、左京区と右京区、どっちが右？

†　『新撰姓氏録』氏族一覧