岸田総理へ若手の経済学者「滝澤美帆」&「仲田泰祐」|第一回『経済財政諮問会議』

【経済・財政報道】 岸田総理(丁酉)は、令和五年一月十六日に本年第一回『経済財政諮問会議』を開いた。実質、日本国の最高会議。既報。


若手の「学習院大」滝澤美帆(己未)経済学部教授は、『生産性、投資、資源配分』を提出。所得格差はやや拡大し、日米の生産性格差も拡大、有形資産投資は停滞し、内、無形資産の中でも“人への投資”も停滞した点を岸田総理(丁酉)へ伝えた。


相対的貧困率」は先進国の中では高く、賃金上昇は望ましいものの、同時に生産性の改善が無ければ、「資本蓄積抑制」を懸念した。無形資産投資は、米国程は増えてない一方で、「対外直接投資」が増。有形・無形の両資産投資を増やす必要性を訴えた。


また、日本の資源配分の効率性は悪化している(下記)が、足元でやや改善とし、この動きを妨げない政策を望んだ。

  1. 高・生産性の企業のシェア→拡大せず
  2. 低・生産性の企業のシェア→縮小せず




<世界金融危機の前後>

 もう一人の若手の「東大」仲田泰祐(庚申)大学院経済学研究科・公共政策大学院准教授は、『財政・金融政策の役割に関する考え方』を提出。平成二十年「世界金融危機」の前後で代表的な考え方が変わった点を岸田総理へ指摘した。以下。


危機前

  1. 金融政策:短期政策金利の調節で景気変動に対応
  2. 財政政策:中長期的な成長。分配;景気変動に対しては「Automatic Stabilizer(累進課税制度や失業救済等)」を通した受動的な役割


危機後

  1. 金融政策:短期政策金利が下方金利制約に直面。景気後退期には「非・伝統的金融政策」で対応
  2. 財政政策:中長期的な成長・分配に加え、景気後退局面では景気刺激策として積極的な役割



また、「欧米でのポストコロナの考え方」として、上記「危機後」を継続。中立金利の低下により、今後も景気後退局面では、短期政策金利を下方制約まで下げる必要が生じる可能性を伝えた。


更に、「日本の過去十年とポストコロナ」として過去十年では、景気回復局面でもインフレ率が目標値以下で推移(非・伝統的政策の継続)。併せて、日本特有の社会経済環境と危機後の欧米と異なる政策変遷を伝えた。


ポストコロナでは、インフレ率が持続的目標達成の場合は、恐らく危機後のものと。そうでない場合には「過去十年」を継続すべきか否か(インフレ率目標値に対する考え方を更新すべきか否か)を指摘した。


以下の引用は、ベン・バーナンキ(癸巳)元FRB議長より。Wブッシュ・オバマ両政権下。FRB議長として、「インフレターゲット」の導入等を実施した。

Ben Bernanke: I’ve viewed inflation targets as important because it was part of the communication process... It was the inflation target itself that was important to me, not the number specifically.” 
(Oct. 11, 2022)

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