【ビジネス論説】 年が明けビジネスマン各位は心機一転、「一年の計は元旦にあり」と本年のビジネス戦略・戦術を練り終えているところであろう。投資の世界では、格言「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」がある。昨年は辛抱の未であった。本年は申。騒ぐ銘柄、企業が存在するか。ビジネス環境において、政治・経済は根底とも云える。政治・経済を省いてビジネスを営むコトは、運だめしの博打に金を突っ込む様なモノである。FPhimeが注目する本年のビジネス環境のポイントを列記する。画像:首相官邸より引用
【政治】
一.伊勢志摩サミット(五月)
二.参院選(七月)及び衆院選(総理がもつ解散権)
三.米・大統領選投開票(十一月)
四.中・第十三次 五ヶ年計画(習近平 国家主席による初中期計画)の実施
五.南シナ海の米中対立
六.北朝鮮・労働党大会(五月)
【経済】
一.TPP発効(二月最終合意後の各国立法府による承認手続き完了時期)
二.中・一帯一路(「新シルクロード経済帯」「二十一世紀 海上シルクロード」)
三.FRB(米・連邦準備制度≒日本銀行)の追加利上げテンポ
四.IoT・AI・フィンテック・バイオ・医療関連銘柄
五.ASEAN経済共同体(昨年大晦日に「クアラルンプール宣言」発足)
六.為替(極端な円安ないし円高転換)
<世界は米・中・日の年>
中小企業経営者やハイクラスのビジネスマンは、目先に忙しいモノ。然しながら、大まかな国と世界の流れはビジネス戦略上、押さえておくべきであろう。何故ならば、ビジネス環境はおよそ自身の周囲から遠く離れたトコロから、変化が訪れる。震源地にいる者は極少数だ。サミット(主要国会議)は国際的な政治・経済の課題について討議される為、グローバル的なトピックを知るコトができる。国内の国政選挙は、税制改正等のビジネスに直結するイベント。経済的に最大のパートナである米国大統領が平成二十九年に変わる。行政の長である日本の総理大臣と異なり、米国大統領は国家元首であり行政の長なので、新たに選出される人物のインパクトは世界を変える。
GDP千三百兆円を誇る(平成二十七年度予測)中国は、これからが経済的に本番と云えよう。世界GDPの一割四分を占める。昨年までは、胡錦濤 前国家主席時代の「五ヶ年計画」であったが、本年からは習近平 現国家主席のモノ。実施手腕次第では、GDPランク一位の米国(二割二分を占める)を大いに脅かす。三位の日本は六分を占める。次いで、独・英・仏が並ぶ。世界は米・中・日の行動に左右されるだろう。特に『参院選』は改憲を射程に入れているタメ、欧米と東・東南アジアは敏感になる。
<鍵は東南アジア>
経済はどうだろうか。国内としては、貿易協定のTPP(環太平洋 戦略的経済連携)に注目が注がれている。内需には限界があり、衰退も予測される日本は外需、外貨を稼ぐコトがビジネスの要諦だ。TPPはその大きな基盤となるモノ。本年の中心区域は東南アジア。ASEAN加盟国でもあるマレーシア・シンガポール・ベトナム・ブルネイの四ヶ国はTPPにも参加。この四ヶ国でビジネスを営めば、その後の展開で「ASEAN経済共同体」の便益を享受できるだろう。同共同体の総人口は六.二億人(平成二十六年度)で、経済規模は日本のGDPの半分に迫る。GDPランクでは同共同体は七位をつけ、今後の成長が最も期待されている。感覚的にはEU(欧州連合)の基となった欧州経済共同体と似ているが、詳細は異なる。
対抗するは、中国の「一帯一路」。昨年十二月三十日にAIIB(アジア インフラ投資銀行)への参加を表明したフィリピン。中国を始め、EU主要国・韓国・インド、そしてロシア・ブラジル・南ア等を含む一大勢力で、端的に中・露・EU勢と日米勢の経済大二極とも云える構図を以って本年よりビジネスが始まる。先に挙げた各技術力で先行する日米勢であるが、優勢とも言い難い。FRBの利上げに因り、為替変動リスクを如何に担保し、ビジネス機会を活かせるかで初戦を制するコトができるだろう。軍事的にも経済的にも主戦場となる東南アジア。主要ビジネス ユーザは、米・中・日の政治を意識しつつ、一層の東南アジア戦略を推し進められたい。
(了)
0コメント