人財と人材の分かれ目となる平成二十八年

【ビジネス考察】 平成二十七年十二月十六日に総務省(大臣:高市早苗)は、「二人以上の世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果/平成二十六年 全国消費実態調査」を公表した。前回の同調査は平成二十一年に行われ、五年毎に統計を取っている。ポイントは現役世代全般に比べ年金取得世代の貯蓄額が多い点(三十歳未満は三百四十八万円、七十歳以上は二千七十二万円)と一世帯当たりの負債残高が一千万円近辺である三十代と四十代である点だ。

一方、記事「アベノミクス3年 指標から見る成果と課題/THE PAGE(画像引用)」では、統計的に世帯収入が十年前と比べて減少している点を指摘している。


 | 結局、たとえば50代の人は昔と比べて給与が下がり、40代以下もこれからあまり増えないだろうと実感しているのではないかということが、統計に表れています


雇用の環境に至っては、非正規の割合が増加中で長期化している。「中小企業白書 二〇一五年版」に因れば、開廃業率はそれぞれ一.四㌫と六.一㌫(平成二十一年から二十四年)と四倍以上も廃業をする確率がある社会だ。開業率はここ四十年程で最低の数値を記録した。労使共にフルイに掛けられている。



<人財に変われるか>

 本年の人事は、人財と人材のフルイ分けが大いに為される年とFPhimeは推測する。人財は、資産価値を有す。人材は消費価値を有す。砕けば、人財は長年に亘って使えるヒトで、人材は短期で使えるヒトだ。本年は使用者から使用人まで問われる年になるだろう。どこか曖昧であった上下がより明確になる、とも云える。本稿のポイントは、下に堕ちないタメの打開策を提案したい。下流が増える中、下流にならないタメには何をしたら良いのか。中流が上流になるタメには何をすれば良いのか。


一つは意欲(バイタリティ)である。前向きな意欲がない者に、優れた仕事の機会は訪れない。二つに気概(ガッツ)。根性論に等しいが、直ぐに投げ出す者には信頼の塔は立たない。三つに全力(フルアクセル・フルスロットル)だ。様子見を決め込んでいる者を期待する者はいない。これは就活生にもいえるコトだ。確かに頭の良さや慎重さは必要であろう。然し、国内が下降トレンドの中で常に慎重のカードを切れる者は、既に持っている者だけである。持ってない者が慎重を切り続けても、失敗の経験が蓄積されない。持っていない者は、往々にして統計的ではなく、実は感覚的にゲームしている。



<大コミュニティの形成>

 昨年十二月十五日に「失敗力カンファレンス2015/新経済連盟」が開催され、藤田晋や堀江貴文らが失敗について語った。要諦となるは“失敗は成功のもと”である。下流の者は、失敗をマネジメントできない。否、避ける。上流の者は失敗を財産に変える。これこそが、人財と人材の線引きとなる根源であろう。ヒトは、ある程度に成功すると守りに入る。守るな、ではなく守り一辺倒では成長の余地が全くない。当然に挑戦をしなければ、失敗はできない。適当に挑戦すれば、適当に失敗する。これでは大きな失敗をマネジメント不可だ。大きな失敗のデータがない。


先に挙げた三要素(意欲・気概・全力)。取締役らはこの三要素でステークホルダを選ぶ。無論、本人に問われるコトは間違いない。そういった者同士がどんどん集まり、図らずも一つの集合体へと変貌していく。それは五年後にまざまざと目に見えるカタチで世に存在しているだろう。その圧倒的な存在感をもつ大コミュニティは、絶対的にも感じるかもしれない。その大コミュニティにエントリする条件でもある三要素。既に人財の者はより資産価値を高め、人材に堕ちてはならない。イマではなくミライに亘る線引きが引かれる年。

(了)

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