『中小企業白書』が訴える業務プロセス改善とM&Aによる生産性向上

【ビジネス考察】 本年度版の『中小企業白書/経産省』ではアンケート調査結果と生産性向上に取組む中小企業の事例を豊富(昨年の倍)にし、実践的な白書とした。


第一部では最近の中小企業の動向について、中小企業の経常利益は過去最高水準で、景況感も改善傾向である事を示した。また、労働生産性や経営の在り方等について分析を行った。第二部では人手不足の現状と生産性向上の取組みを分析。具体的には業務プロセスの見直し、人材活用面の工夫、IT利活用、設備投資、M&Aを中心とする事業再編・統合について取上げた。


先ず中小企業の景況感は改善傾向だが、大企業との生産性格差は拡大している点を指摘。中小企業の生産性向上を急務とする。前提として白書は業務プロセスの見直しを推す。幅広い業種で多能工化・兼任化の取組みが進展しており、生産性向上にも寄与している。多能工化・兼任化を図られたい。


IT導入に関しては、地元のベンダとの密接な関係構築が重要。相談の柔軟性が要だ。IT導入に当たって効果を高める方法として、自社内の業務間及び他社との企業間のデータ連携が奏功する。


設備投資は緩やかな増加傾向だが、中身は維持・更新投資が中心。前向きな投資促進の必要性を説く。M&Aは増加。生産性向上に寄与している。今後はマッチング強化を課題とする。下請取引は着実に改善しており、「未来志向型」の取引慣行を実現したい。


これらを鑑み、主軸は生産性の向上。その為には従来の業務プロセスを大胆に変える事が前提で、自社内と他社間で再考する必要があるだろう。要はIT。RPA等の自動化は背面強化。M&A等の融合は前面強化。中小企業は兎角、前者に投資が偏りがちなので、後者とのバランスをとる。それには取締役会ではなく、業務プロセスの見直し専門のタスクフォースが欠かせないだろう。


画像引用:2018年版「中小企業白書」「小規模企業白書」概要/経産省

記事:羽田野正法

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