十二年振りに韓統領が来日|日韓首脳会談

【政治報道】 令和五年三月十六日に総理大臣官邸にて岸田総理(丁酉)は、大韓民国の尹錫悦(ユン・ソンニョル、庚子)統領と首脳会談等を行った。 会談後に共同記者会見に臨んだ。その後、夕食会に続き、懇談を行った。


会談は、一時間二十五分間(少人数会合=二十五分間、全体会合=一時間)。


以下が概要。

  1. 国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、関係を更に発展させていく事で一致
  2. 両国の首脳が形式に囚われず頻繁に訪問する「シャトル外交」の再開で一致
  3. 旧・朝鮮半島出身の「労働者問題」に関し、岸田総理から六日に日本政府が発表した立場に沿って発言
  4. 日韓両国が共に裨益(ヒエキ)する様な協力を進めるべく、政治・経済・文化等、多岐に亘る分野で政府間の意思疎通を活性化していく。具体的には、「日韓安保対話」及び「日韓次官戦略対話」を早期に再開、ハイレベルの「日中韓プロセス」を早期に再起動する重要性について一致。また、日韓間で「経済安保に関する協議」の立上げで一致。更に、輸出管理分野でも進展があった事を歓迎
  5. 岸田総理から「対日理解促進交流プログラム」等により、未来を担う若者の交流を支援していく旨を述べた。両国の経済団体が「日韓・韓日未来パートナシップ基金」を創立すると表明した事を歓迎
  6. 「北朝鮮」に関し、『日米同盟』及び「韓米同盟」の抑止力、及び対処力を一層強化し、日韓・日米韓の安保協力を推進していく事の重要性で一致
  7. 「拉致問題」は、尹統領から改めて支持を得た。FOIPを実現する重要性について確認。法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序を守り抜く為、同志国が力を合わせていく必要性について認識を共有
  8. 『露鳥戦争』についても意見交換。暴挙は、東アジアを含む世界の何処であっても許してはならないとの点で一致 
  9. 両首脳は、今後も首脳間での意思疎通を継続していく


会見にて岸田総理は、「一九六五(昭和四十)年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を更に発展させていく事で一致致しました。今回の訪日を契機として、信頼と友情が育まれ、日韓関係が大いに飛躍する事を期待しております。」と述べた。


会見における尹統領の発言

 先ず、私達の一行を温かく歓迎して下さった岸田総理大臣と日本国民の皆様に感謝します。また、本日、韓国統領として日本へ十二年振りに訪問し、日韓首脳会談をでき、とても嬉しいです。


就任当時の日韓関係を考えてみると、本日の岸田首相との首脳会談の結果は格別です。韓国と日本は自由・人権・法の普遍的な価値を共有し、安保・経済・グローバルアジェンダで共同の利益を追求する最も近い隣人であり、協力するパートナです。



本日の会談で私と岸田首相は、これまで凍っていた両国関係の為、両国の国民は直接的または間接的に被害を受けた点に共感し、日韓関係を早急に回復発展させていく事を共にしました。


両国の未来を共に準備しようとする国民的な共感に基づき、安保・経済・人的・文化交流等の様々な分野での協力を促進する為の議論を更に加速する事にしました。


両国の豊かな未来を準備する為に、 経済安保と先端科学だけでなく、金融・外国為替分野でも一緒に考えていく事にしました。その為に外交・経済当局間の戦略対話を始め、両国の共同利益を議論する協議体を早速、復旧する事に合意しました。


今後、NSC(国家安保会議)レベルで、日韓『経済安全保障対話』の開始を含む、様々な協議体と対話を続けていきたいと思います。




私たちの二人のトップと両国政府が緊密に対話して考えた結果、韓国政府による「強制徴用問題」解決法の発表をきっかけに、両国は未来志向の発展方向をこれから本格的に議論できる土台が設けられたと判断しました。


本日、日本は三項目の「輸出規制措置」を解除し、韓国はWTO提訴を撤回しました。所謂、ホワイトリスト対策についても、早急な原状回復の為に、緊密な対話を続ける事にしました。


一方、将来の世代が交流して相互理解を深める為に、両国政府が支援する方案を積極的に探さなければならない、という点でもお互いの考えが一致しました。本日、このレベルでは両国の経済界が日韓『未来パートナシップ基金』を設立する事に合意しました。今回の基金設立が、両国の未来志向的な協力の為に、意味のある交流と協力に繋がる様に準備し、ご支援頂きますようお願いします。



今朝、北朝鮮は安保理決議に違反して、また再び長距離弾道ミサイルを発射しました。その少し前の会談でも岸田総理と深い意見を交換しました。私と岸田総理は、北朝鮮の核ミサイル開発が朝鮮半島と北東アジア、そして世界平和を脅かすという認識を共にしました。


また、日々高度化している北朝鮮の核ミサイルの脅威に対応する為に韓米日、韓日の協力が非常に重要であり、これから積極的に協力していこうという意見で一致しました。


韓国の「自由・平和・繁栄のインド太平洋戦略」と日本の「自由で開かれたインド太平洋」の推進過程でも、国際社会と共に緊密に連帯して協力していきます。



また、自由・人権・法治という普遍的な価値に基づく国際秩序、世界の平和と繁栄を成し遂げた分だけ、私達はこれらを維持する為に協力する事にしました。本年は過去を直視し、相互理解と信頼に基づく関係を発展させる為に、一九九八年に発表された「金大中ー小渕共同宣言」が二十五周年となる年です。


今回の会談は「金大中ー小渕共同宣言」の精神を発展的に継承し、両国間の不幸な歴史を克服し、 「日韓間協力の新しい時代」を開く第一歩となりました。


今後も私達二人のトップは、形式に拘らず、必要に応じて随時会う「シャトル外交」を通じて積極的に対話をして協力していきます。

有難う御座います。


記事:金剛正臣

写真:総理大臣官邸、日韓首脳、すき焼きとオムライスを「はしご」 銀座で/日本經濟新聞

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