『インド太平洋』へ十兆円、日本の支援の中身

【政治報道】 岸田総理(丁酉)は、令和五年三月二十日にインド・ニューデリーにてシンクタンク『インド世界問題評議会』へ出席し、三十分に亘って演説した。


岸田総理は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現を目指す新たな行動計画を発表。インド太平洋地域のインフラ支援の為、同十二年までに官民で計九.九兆円以上を投入する(既報)。


FOIPは、平成十九年に同国にて故・安倍晋三(甲午)総理が観念を説明。同二十八年にFOIPのビジョンを提唱した。




<演説のポイント>

 岸田総理は、同二十七年に外務大臣として本評議会主催の場で講演。「インド太平洋の時代」において、日印が共に当該地域と世界を牽引していきたい旨を話した。


演説のポイントは、以下の二点。

  1. 何故今、FOIPを発展させる必要があるのか:国際社会が共有すべき考え方の提供
  2. FOIPの協力拡充


現在の歴史的な転換期に特徴的な事として、岸田総理は「国際秩序の在り方について、皆が受け容れられる様な考え方が欠如している事だと思います。」と述べた。



新たな四つの柱

 FOIPの基本的な考え方は、インド洋~太平洋の地域連結性を高め、自由と法の支配等を重んじ、豊かにしていく事。「誰も排除しない」「陣営作りをしない」「価値観を押し付けない」点を岸田総理は強調した。


今後は、各国の歴史的・文化的多様性を尊重した「対話によるルール作り(対等協力)」の段階に入る。日本は、米・豪・韓・加、欧州等との連携を強化。印は不可欠なパートナ。東南亜(ASEAN)や太平洋島嶼国、中東、アフリカ(阿)、中南米等に拡げたい。


以下が、FOIP協力の新たな「四柱」。


  1. 平和の原則と繁栄のルール;原則は、主権や領土の一体性の尊重、力による一方的な現状変更への反対等。TPP等。不透明・不公正な開発金融を防ぐルール作り。日本企業による海外展開
  2. インド太平洋流の課題対処;「国際公共財(気候・環境、国際保健、サイバ空間)」のFOIP協力拡充。対等協力。「ASEAN感染症対策センタ」が東南アジア地域の感染症対策の中核として発展する様に日本が支援。日本が「防災・災害対処能力向上」に資する支援等。「偽情報対策」の知見を地域に拡げる為のワークショップ等を年内開催  
  3. 多層的な連結性;東南亜(日ASEAN統合基金に新たに百三十三億円の拠出)。南亜(ベンガル湾・インド北東部の産業バリューチェーン構想)。太平洋島嶼。若者繋ぎ(「対日理解促進交流プログラム」やアジア高校生架け橋プロジェクト」等)。起業家と投資家繋ぎ(阿スタートアップ支援、「日ASEAN女性起業支援基金」等)。日本の政府開発援助(ODA)でインフラ整備支援
  4. 「海」から「空」へ拡がる安保・安全利用の取組み;自衛隊と各国軍の共同訓練、円滑化協定(準同盟、RAA)等。同志国軍等へ「無償資金協力」の枠組み創設



日本の資金支援群

 また、岸田総理は「開発協力大綱」を改定し、今後十年間の日本のODAの指針を示す旨を伝えた。「オファー型」協力を新たに打ち出す予定。


新たに、投資を呼び込む「民間資金動員型」の無償資金協力の枠組みも導入する。これは、各国の意欲のある若者によるスタートアップ支援の新メニュー。官民の資金のシナジ効果を生み出す新たな試みに据える。


国会では、『国際協力銀行法』の改正案を審議中(報道現在)。新たに、融資対象へ外国企業の追加や海外事業を手掛けるスタートアップへの出資を可能としたい。



演説内で岸田総理は、「人があっての国家です。」と述べた。内閣府の推計では、百年後に人口・一億三千万人から四千万人(三分の一)に落ち込む。日本国が滅亡の危機(侵略を含む)に差し迫っている。


記事:金剛正臣

写真:総理大臣官邸

0コメント

  • 1000 / 1000