意見公募:「開発協力大綱」改定案

【政治・経済報道】 日本政府(総理:岸田文雄)は、令和五年五月四日まで『開発協力大綱』の改定に当たり、広く国民からの意見を募集している。同日に発表した本大綱案(十四頁)は、政府開発援助(ODA)の指針となる。

FOIP関連。


八年振りに改定する本大綱案は、昨年九月から有識者や市民社会、経済界等の広く国民の御意見も伺いつつ、日本政府にて作成した。今回頂く御意見も踏まえ、五月に閣議決定の見通し。


対「国民総所得(GNI)」比でODA=〇.七㌫とする国際的目標が念頭。


以下が、意見の提出方法。

  1. 電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォームを使用する場合;「パブリックコメント:意見募集案件別ウィンドウで開く」画面の意見入力フォームへのボタンをクリックし、「パブリックコメント:意見入力フォーム」から提出
  2. 電子メールの場合;件名を「開発協力大綱案パブリックコメント」と明記の上、別紙(意見提出様式)に倣い、「oda2023@mofa.go.jp」まで送付

改定案

開発協力大綱

~自由で開かれた世界の持続可能な発展に向けた日本の貢献~


Ⅰ、基本的考え方

  1. 策定の趣旨・背景
  2. 開発協力の目的
  3. 基本方針


本大綱上、開発協力とは「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動」を指すもの。平和構築やガバナンス、基本的人権の推進、人道支援等も含む広い概念として扱う。その上で、ODAとその他の公的資金(OOF)や民間資金(PF)との連携を強化し、開発の為の相乗効果を高めていく。


以下二点が、我が国の開発協力の目的

  • 開発途上国との対等なパートナシップに基づき、開発途上国の開発課題や人類共通の地球規模課題の解決に共に対処し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の下、平和で安定し、繁栄した国際社会の形成に一層積極的に貢献する事
  • 我が国及び世界にとって望ましい国際環境を整備し、信頼に基づく対外関係の維持・強化を図りつつ、我が国と国民の平和と安全を確保し、経済成長を通じて更なる繁栄を実現するといった我が国の国益の実現に貢献する事


基本方針は、「平和と繁栄への貢献」「新しい時代の『人間の安保』」「開発途上国との対話と協働を通じた社会的価値の共創」「包摂性、透明性及び公正性に基づく国際的なルール・指針の普及と実践の主導」の四点。


Ⅱ、重点政策

  1. 新しい時代の「質の高い成長(包摂性・持続可能性・強靭性)」とそれを通じた貧困撲滅
  2. 平和・安全・安定な社会の実現、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の 維持・強化
  3. 複雑化・深刻化する地球規模課題への国際的取組の主導;気候変動・環境、保険、防災、教育


一では、以下三分野の取組みを強化する。

  • 経済社会(食料・エネ安保等)の自律性・強靭性の強化
  • デジタル
  • 質の高いインフラ

Ⅲ、実施

  1. 効果的・戦略的な開発協力の為の三つの進化したアプローチ
  2. 開発協力の適正性確保の為の実施原則
  3. 実施体制・基盤の強化
  4. 開発協力大綱の実施状況に関する報告


以下のパートナ連携を強化する。

  • 民間企業(スタートアップや中小企業を含む);開発途上国における経済基盤の構築や民間人材の研修・留学、法制度整備支援、開発モデルの提示、公的資金の戦略的活用(海外投融資)等
  • 公的金融機関等;ODA資金と途上国に対するOOFを扱う機関を連携。国際協力銀行、日本貿易保険、海外交通・都市開発事業支援機構、海外通信・放送・郵便事業支援機構、エネルギー・金属鉱物資源機構等
  • 同志国等;南南協力・三角協力等
  • 国際機関、地域機関等;国際機関における意思決定への関与を強化(国際機関等への効果的な拠出・邦人職員の増強)
  • 市民社会
  • 地方自治体;開発協力事業への地方自治体の参画への促進・支援に努める
  • 大学・研究機関
  • 知日派・親日派人材、在外日系人等



実施に際しては、日本政府・実施機関が一体となり、これまで行ってきたODAの三スキーム「無償資金協力」「技術協力」「有償資金協力(円借款・海外投融資)」の効果的な活用に加え、「二国間協力」と「国際機関やNGOを通じた協力」を、開発のプラットフォームを通じた様々な主体との連帯を通じ、最適な組合わせで実施し、開発効果の最大化を目指す


途上国から留学・研修先として日本国が「選ばれる国」で在るべく、民間人材も含め、途上国に有用な日本国の経験の体系的習得、日本企業の現地パートナとなる途上国人材の育成を進める等、「留学・研修プログラムの充実」に努める。


積極的に提案していく「オファー型協力」を強化する。


以下が実施原則。

  • 民主化の定着、法の支配及び基本的人権の保障に係る状況
  • 軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避
  • 軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発製造、武器の輸出入等の状況
  • 開発に伴う環境・気候変動への影響
  • 債務の持続可能性
  • ジェンダ主流化を含むインクルーシブな社会の促進・公正性の確保
  • 不正腐敗の防止
  • 開発協力関係者の安全配慮



外務省・JICA以外にも、コンサルタント・研究者・大学や学生・民間企業・市民社会等における専門性を有す国際人材の育成を促進し、当該人材が国内外において活躍できる「機会の拡大」及び「制度・体制整備」に努める。


国際社会において、日本の開発協力とその成果の認知度・理解度を高める為の「海外広報」に積極的に取組む。


学校教育や社会教育等の場を通じ、「開発教育」を推進する。日本国民の日々の生活や経済活動は、国際社会との相互依存の下に成り立っている。開発教育を通じ、幅広い世代が様々な開発課題について主体的に考え、行動する力を育んでいく。


画像:開発協力大綱案/外務省

0コメント

  • 1000 / 1000