教員不足=六~七割、「国家予算」の確保が必要と|教員不足の実態調査

【教育報道】 令和五年五月十日に文科省にて「#教員不足をなくそう緊急アクション」は、記者会見を開いて『教員不足の実態調査について(概要、途中経過)』を発表した。併せて、緊急提言を行った(国家予算を含む)。


本アクションの呼び掛け人は、「日大」末冨芳(甲寅)教授、学校業務改善アドバイザ・妹尾昌俊(己未)と「School Voice Project」の三者。


実態調査は、公立小中=一千七百九十八校が回答。対象は教員、副校長、教頭と保護者。期間は、四月から五月に掛けて。昨年度に一度でも教員不足があったと答えた教員は、各校種にて六~七割で起きているとの回答だった。



緊急提言では、「正規採用教員の数を増やす為には、国による予算確保が必要です。」と訴える。以下三点の観点で整理した。


  1. 応急処置;「教員免許の授与」と「採用のあり方」
  2. 体質改善;「働き続けられる環境づくり」
  3. 根本治療;「教員定数」や「国庫負担(予算)」


本アクションは、二万五千人を目標に賛同者を募っている(最下部を参照)。報道現在で、凡そ二万人に達している。以下が、総理宛ての緊急提言。


一、教員免許制度と採用のあり方


教員免許ホルダ(取得見込みの)学生向け

  • 教員採用試験の改善(大学推薦枠を拡充、試験実施時期の前倒し等)
  • 教員になった場合に奨学金(日本学生支援機構)が返還免除となる仕組みの復活


教員免許ホルダ社会人向け

  • 採用試験を社会人が受けるインセンティブの強化(一部試験免除や社会人経験や仕事上の実績に応じた加点等)
  • 休眠免許保持者やペーパーティーチャーの発掘
  • 中学校免許保持者の小学校現場での勤務を可能とし、促進する措置(臨時免許状の発行やそれ以上に簡易な手続きで可能とする等。※その際、待遇は小中どちらで働いても同等)
  • 一度離職した教員の復職の推進、安心して復職するため実習・研修プログラム等の整備
  • 講師登録や募集、一次面接、採用前研修等を担う全国的な講師人材バンクの整備、民間サービス(就活サイト等)の活用


教員免許の未ホルダ社会人向け

  • 「社会人 特別免許状」を授与するに当たって子どもと関わってきた経験を重視(NPO・地域教育団体等で子ども支援や学校支援を行ってきた実績。ICT支援や地域協働のコーディネート等も含む)
  • 「社会人 特別免許状」授与者へのサポートの充実(採用の事前事後に研修や学校での実習整備、他の教員の業務のサポート等のサブ的なポジションで働く期間を設ける等、※これは本来、全新採教員に対して行って欲しい)


現職の非正規教員向け

  • 採用試験免除や面接試験で正規教員への移行ができる仕組みづくり(同僚や子ども達からの声を基に校長が推薦する等)
  • 給与や雇用システムの面での待遇改善(給与が一定の勤続年数で頭打ちに。数年間働く場合にも、年度末に一旦雇用が切られる等の仕組みの見直し等)

二、働き続けられる環境づくりと働き方改革


教員が担う業務の見直し

  • 部活動を含む様々な業務の地域や外部への委託・移行
  • 教員以外の専門職・支援員の増員、常勤化(学校事務職員、スクールカウンセラ、スクールソーシャルワーカ、ICT支援員等)


安心安全な労働環境づくり

  • 業務上抱えうる保護者等とのトラブルや訴訟・紛争リスクを軽減する為の相談・仲裁・救済の仕組み化
  • 教職員間のハラスメント対策
  • 病休、離職の原因分析と防止策の実行(特に、職場環境や労働条件が原因のものについて具体的な予防策を講じる)


柔軟な働き方の実現・許容

  • 時短勤務ができる環境整備(育児や介護をしながら働ける仕組みづくり等)
  • 正規職員を続けながら、フレックス制やシフト制、週三日勤務・週四日勤務を可能とする等
  • サバティカル制度の導入(一定の勤務経験がある人が職務を離れて国内外で研究できる休暇制度)
  • 希望しない人には部活動顧問を強要しない事や有給休暇の取得促進等、ワークライフバランスの推進


職場レベルでの業務改善の支援とそれを可能とするインフラ整備

  • 労働安全衛生体制の構築・充実(持ち帰りも含めた仕事時間の正確なモニタリング、衛生委員会等による業務軽減策の検討や業務量の調整等)
  • 業務改善チームの育成(専門家を活用した研修、コンサル等)
  • 使い勝手の良いICT環境の整備
  • 非効率な事務や手続きの断捨離(教育委員会が学校現場の声を踏まえて地域全体で改善)

三、教員定数や国庫負担(予算)


基礎定数の改善(少人数学級化の推進により、正規教員の人員を増やす)


「義務教育費 国庫負担額」を現状の現在の三分の一から二分の一へ戻す;都道府県・政令市の財政事情により、国が定める標準より少ない正規教員しか雇用できていない地域も。都道府県・政令市の財政負担を改善し、正規教員を雇用し易くなる


非正規教員の割合に上限設定(総額裁量制の改善);非正規教員の割合に規制がない為、非常勤講師への依存が高まり、授業以外の負担が正規教員等に集中してしまう課題がある 


教員一人当たりの授業の持ちコマ数に上限設定;義務標準法の”乗ずる数”を調整し、配置人数にゆとりを


画像:#教員不足をなくそう緊急アクション、緊急アンケート結果(途中経過)/同

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