実質増税「異次元の少子化対策」に専門家達は?

【政治報道】 岸田内閣は「異次元の少子化対策」を掲げている。報道現在で専門家達は、実質増税である財源「社保費」について如何様な見解か?列挙する。



「日大」末冨芳(甲寅)教授;「こども家庭庁」こども家庭審議会部会委員

問題は財源です。子どもの生存権保障の為の扶養控除を今以上に無くしたり、現役世代の社会保険料に転嫁するなら、少子化対策として意味がありません。

国を衰亡に向かわせる財務省の抵抗を、岸田総理のリーダーシップで抑え込めなければ超少子化は加速するばかりです。

確かに所得制限の無い児童手当、そして十八歳までの支給期間延長は、自民党政治の歴史的転換です。その事は率直に評価します。

一方で「何の為の改革か?」と問われたら「超少子化の解消の為」の筈です。

その為には若い世代が子どもを産み育て易くする為の所得増が必須で、若い世代の手取りを減らす社会保険料転嫁や扶養控除削減は悪手となります。

明石市の泉前市長や与党以外の主要政党の主張為さる歳出削減、身を切る改革に踏み込まなければ、全世代型社会保障制度で子どもを支えるどころか、全世代からそっぽを向かれてしまうでしょう



「FPラウンジ」豊田眞弓 代表

異次元の少子化対策の柱として期待される児童手当。

・所得制限撤廃
・十八歳まで月一万円支給
・第三子以降は三歳~小学生の間は三万円

といった変更が打ち出されています。財源としては、十六歳以上の扶養控除の見直しや公的医療保険への上乗せといった案が出ています。国家存亡の危機とも言える問題なので、捻り出すしかないでしょう。

十八歳までの延長で、一人につき累計三十六万円の増額、第三子は誕生月で異なりますが、これまでに比べ累計額で倍増(合計で四百万円前後)となる計算。期待していた額とは異なるものの、「もう一人」を持とうというインセンティブに繋がって欲しい所です。

大きく増額されたのは三人目以降のみですが、「働きながら三人」はかなりの負担。共働きをしながらだと夫婦のどちらかが仕事を辞めざるを得ないケースも増えそう。家計的な収支では、機会費用に全く及ばないと考えられます



門倉貴史(辛亥)経済評論家

児童手当の拡充を始めとする少子化対策を実施するに当たって、財源を医療保険料の引き上げによって調達すれば、家計の可処分所得が減少する事になり、これは実質的に増税しているのと同じ効果になる。

実質賃金の減少が続く中、医療保険料の引き上げで家計の可処分所得が更に減少すれば、国民負担の高まりによって家計が生活防衛姿勢を強めて消費や景気が低迷する恐れがある。

景気低迷で雇用・収入環境が悪化すれば、非正規雇用を中心に経済的な理由から結婚を諦める独身者が増える事が予想され、逆に少子化を加速させるという本末転倒の結果を招く可能性が高い。

少子化対策を効果のあるものにするには、(国民の可処分所得を減少させてしまう)医療保険料の引き上げではなく、潜在成長率の引き上げによる税収の自然増と歳出の大幅削減で財源を確保すべきではないか



「法政大院」白鳥浩(戊申)教授

児童手当が拡充されて十八歳まで月一万円が支給されるというのは、良いように聞こえる。「異次元の少子化対策」と言っても良いものに近付け様としているのだろう。

然しながら、そうした給付には、その原資となる財源が必要となる事は言うまでもない。それについては「増税を行わない」と岸田首相は明言したが、医療保険の保険料を増額すると言う。

成程、保険料は「税金」ではない。然しながら、実質的には国民が負担する事となる。

そうした徴収方法も含めて、岸田首相は、選挙等、国民の声を聴く機会が必要なのではないだろうか

※ 以上がヤフー記事「児童手当、十八歳まで月一万円支給 対象を拡大 政府方針/毎日新聞」より


井戸美枝ファイナンシャルプランナ・社労士

親の介護は、以前は家族が負担する考え方でしたが、介護保険制度を通じて社会全体で支える様に変わりました。同様に、子育てについても意識を変える必要があります。

問題は、これらの費用を誰が負担するかという事です。医療・介護・年金は、現役世代の保険料によって支えられています。少子高齢化の影響を受けない人は居ないと言っても過言ではありません。

少子高齢化は社会全体の問題ですので、「広く薄く全体で負担する」という考え方が必要です。その為、社会保険料の上乗せには賛成です。

但し、その際には使途や将来の保険料の見通しを明確に示す必要があります。国民の意思を選挙で確認する事も考えられます。その過程で良い代案が見つかるかも知れません



荒川和久(癸卯)独身研究家

「月五百円なら仕方ないか」と思わせて、少額のステルス値上げをずっと続けられています。二〇〇〇年から二〇二二年での家計調査に基づく社会保障費の月額増額は年平均で八百七十円ずつ毎年上がって、二十二年間累計にすれば月約二万円上がった事になります。

年にしたら二十四万円も上がっている。その上がった分はそっくりそのまま消費支出の減額と略同額です。詰まり、社保料を上げれば上げる程、消費が低迷し、景気が上がらず、よって給料も上がらないという悪循環に繋がっています。

良し悪しは別にして、結婚も出産も子育ても最早、消費行動の一部です。無い袖は振れないから、婚姻数が減るし出生数が減る。社保負担だけの問題ではないですが、少子化の本質的なここの部分を無視し続けてきた事が現在の状況を生んでいるとも言える。

この期に及んでも未だ同じ事を続けるのであれば、これは少子化対策ではなく、将に「少子化大促進政策」でしょう

※ 以上はヤフー記事「少子化財源、社保上乗せ五百円 月額一人当たり、政府検討/共同通信」より


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