経済学オンチの『財政審』が緊縮財政を強調|第七回『経済財政諮問会議』

【経済・財政報道】 岸田総理(丁酉)は、令和五年五月二十六日に第七回『経済財政諮問会議』を開催(既報)。鈴木俊一(癸巳)財務大臣は、『財政制度等審議会の建議の方向』を提出した。


財政審(会長:十倉雅和)は、財務大臣の諮問機関。実質的に、日本の最高会議である本会議へ多大なる影響を及ぼす。平成から令和までの財政緊縮は、財政審が提示している。つまり、平成不況は財政審の責任。


今回の建議の方向でも、財政審は反省せずに財政の緊縮(国債発行の抑制)を主張した。余りにも財政審の程度が低いので、適宜、反駁する。




<基本認識等>

 「我が国は、経済の成長力の低下少子高齢化の一層の深刻化、人口減少下における地域社会の問題といった課題を抱えている。コロナ対策により一層低下した財政余力の回復が急務。」と矛盾。経済成長の低下と少子化は、財政緊縮に因るもの。そして国民を更に赤字にすべく、財政余力の回復を求めた(PB黒字化)。


「これまで、拡張的な財政スタンスが成長力の強化に繋がってきたとは言い難く、財政支出は、単に需要喚起の為に行うのではなく、必要性と有効性を見極めてターゲットを絞るべき。」と緊縮発言。大企業向けの財政支出が失敗しているだけ。中小零細・国民へ振る向けるべき(減税等)。


「少子化対策の成否は、中長期的な日本経済の成長力や財政・社会保障の持続可能性に大きく影響する。」と正しい。しかし「企業を含め、社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く負担する新たな枠組みを検討する事が必要。」と誤り。少子化の原因若者・若手の所得減。増税(社保料の増を含む)は悪手。




<財政総論>

 「円の信認を支えてきた経済的ファンダメンタルズも絶対的なものではなくなりつつあり、安定した財政運営を心掛けるべき。」と不安を煽る。日銀と円を使う日本人の存在で、“円の信認”は十分に担保されている。


「短期債への依存が高まり、金利上昇に脆弱な資金調達構造に。金利が上昇すれば財政リスクが高まっていると受け取られ、それが更なる金利上昇要因にもなりかねない。海外投資家のプレゼンスが高まっている状況も踏まえ、市場の信認確保の重要性をこれまで以上に意識すべき。」と。


日本国債の海外勢の保有率は一割未満。五割を日銀、三割強を国内銀行が有している。よって、金利上昇のリスクはコントロール可。日銀と円を使う日本人の存在で、“市場の信認”は必要性が乏しい。つまり、海外勢へ国債を売らなければならない状況は、数十年以上、見込みが無い。



世界の中での日本

 「G7財務大臣・中央銀行総裁会議共同声明でも指摘された様に、財政支援のターゲットを絞る事や財政の持続可能性を確保すべき事等は国際的な共通認識。欧米諸国は、直面する課題への対応を図りながら、財政健全化への取組みとの両立に試行錯誤している状況。」と。


欧米は実質的に中銀が民間なので、“市場の信認”が欠かせない。日銀は、実質的に日本政府(日本国民)の子会社なので、「よそはよそ。うちはうち。」で問題無い。


「大規模な補正予算により、財政状況が悪化している状況に歯止めを掛ける事が必要。」と誤り。岸田内閣の“分厚い中間層の復活”の為には、更なる財政拡大ないし大減税が求められる。



危機への備え

 「財政支出・国債発行を歯止め無く行えば、日本国債や円に対する“市場の信認”が損なわれ、その価値を毀損させかねない。安全保障上の有事、震災、感染症といった危機時に、資金調達を市場から円滑に行える様にする為にも、平時から節度ある財政運営に努め、財政余力を確保する事が不可欠。」と更に不安を煽る。


歯止めはある。インフレ率=二㌫、及び少子化の反転。そこまでは財政拡大できる。“市場の信認”は先の通り、必要ない。“円の信認”は法人税の税収増少子化の反転(納税者の増)により、向上する


「コロナ対策は、正常化までに時間が掛かり過ぎている。危機対応の支出が常態化し、財政や成長力に影響しないよう、事態の進展に合わせて財政支援の正常化を図るべき。」と安倍内閣を否定。中央政府にとっての正常化は、少子化の反転である。よって、更なる財政拡大から財政拡張を行う


成果志向の財政運営

 「過去三十年間、拡張的な財政スタンスを採り、債務残高も積み上げてきたにも関わらず、成長力の強化に繋げる対応ができなかった。」と責任転嫁。財政審の建議が失敗し続けた。


「企業部門の貯蓄超過が続いている状況は、極めて特異。財政拡大に関わらず企業部門の動向が変化しなかったのが問題であり、各種手段を組み合わせて成果に繋がる政策対応を展開していかねばならない。」と正しい。大企業の法人税を上げるべきだろう。


「成果志向の財政支出を徹底する為、EBPM手法の徹底、PDCAサイクルの確立が必要であり、行政事業レビューシートの実効性を更に高める事が急務。政策評価と行政事業レビューを有機的に連携させるべき。」と正しい。『乗数効果』を明示的にすべきだろう。




<各論>

 「資本面では、企業部門の貯蓄超過が続いている状況を変え、成長に繋がる投資を促す事が必要。特に、世界的な成長分野として期待される一方で投資が不足するGX・DX分野については、投資拡大に向けて官民を挙げた取組みが重要。」と大企業への政府投資を促す。


但し、大企業の法人税の納税額は、消費税よりも少なく、政府の投資対効果(税収)が悪い。


「経済成長の源泉である科学技術・イノベ分野に投資し、拡大した財政支出が成果に繋がるよう、担い手の大学等の効果的取組を促す事が必要。新技術・アイディアの社会実装により、付加価値を生み出すスタートアップの振興、エコシステム形成も重要。」と主張。大企業が中小零細を吸い上げない形ならば、奏功する。



子ども・高齢化

 「急速な人口減少は、成長力の低下や国民の豊かさの低下を齎すばかりではなく、社会保障制度と財政の持続可能性を脅かすものである。少子化を押し留める事は、年金・医療といった各保険制度を将来に亘って機能させる為にも必要。」と正しい。


「少子化対策については、社会全体の構造や意識を変えていく事が不可欠。子ども政策強化の予算については、真に必要な施策に重点化すると共に、その財源については、将来世代に負担を先送りするのではなく、社会全体で安定的に支えていく必要がある。」と。


意識を変えるべきは財政審である。子育ては二十年~三十年間を見越す。つまり、二十年~三十年間は若者・若手の所得増(減税を含む)を行うべき。財源は「法人税」と返済せずとも良い「国債」。



人口・地域

 「我が国は、本格的な人口減少社会に突入しており、経済力の一層の低下、地域社会の経済社会活動の衰退に繋がる懸念。」と正しい。但し、主因は財政審・経済財政諮問会議・財務官僚。


「行財政については、人口減少下では歳出増加を前提とせずとも、一人当たりの行政サービスの水準の維持・強化が可能である事を踏まえた歳出改革、地方公共団体の人手不足を見据えた広域連携やデジタル技術の活用等の行政サービスの効率化の徹底が必要。」とDX面は正しいが、地方人材は拡張すべき。


「財政資源の有効活用の為にも、当該地域がどの様な姿を目指すのか、という前提を共有した上での省庁・分野横断的な対応が必要。」と、中央政府が地方政府をコントロールしかねない。注意が必要。


「財政審」委員


  1. 秋池玲子;ボストン・コンサルティング・グループ日本共同代表
  2. 安藤光義;東京大学大学院農学生命科学研究科教授
  3. 五十嵐隆;国立成育医療研究センター理事長
  4. 大槻奈那;名古屋商科大学大学院教授・ピクテ・ジャパン㈱シニアフェロー
  5. 翁百合; ㈱日本総合研究所理事長
  6. 奥田かつ枝;㈱九段緒方総合鑑定代表取締役
  7. 亀坂安紀子;青山学院大学経営学部教授
  8. 加藤康之;京都先端科学大学教授・東京都立大学大学院特任教授・京都大学客員教授
  9. 川口有一郎;早稲田大学大学院経営管理研究科教授
  10. 河村小百合;㈱日本総合研究所調査部主席研究員
  11. 熊谷亮丸;㈱大和総研副理事長
  12. 小林慶一郎慶應義塾大学経済学部教授
  13. 櫻田謙悟;SOMPOホールディングス㈱グループCEO取締役代表執行役会長
  14. 佐藤主光;一橋大学経済学研究科教授
  15. 関ふ佐子;横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授
  16. 武田洋子;㈱三菱総合研究所研究理事シンクタンク部門副部門長 兼シンクタンク部門統括室長兼政策・経済センター長
  17. 筒井義信;日本生命保険相互会社代表取締役会長
  18. 土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授
  19. 十倉雅和;住友化学㈱代表取締役会長
  20. 南場智子;㈱ディー・エヌ・エー代表取締役会長
  21. 野村浩子;東京家政学院大学特別招聘教授
  22. 藤谷武史;東京大学社会科学研究所教授
  23. 増田寛也;日本郵政㈱取締役兼代表執行役社長
  24. 丸田健太郎;有限責任あずさ監査法人常務執行理事
  25. 宮島香澄日本テレビ放送網㈱報道局解説委員
  26. 安永竜夫;三井物産㈱代表取締役会長
  27. 家森信善;神戸大学経済経営研究所教授
  28. 芳野友子;日本労働組合総連合会会長
  29. 若林茂雄;弁護士
  30. 渡辺努;東京大学大学院経済学研究科教授

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