【緊急寄稿】 平成二十八年一月二十一日の日経二二五(日経平均)は、一万六千十七円で引けた。昨年の大納会は一万九千百十三円であったので、本年に入り東証一部上場企業の二百二十五社の平均的な株価が十六.二㌫も落ちたコトになる。それは、二百二十五社の時価総額が、十六.二㌫も平均で下がったと読む。リーマンショック後からの日経二二五の上昇幅は、バブル景気期の上昇幅と比較しおよそ三分の一程度。俯瞰すれば、この上昇幅は何を根拠としているのであろう。国民は景気上昇を享受しているどころか、閉そく感をもつ。故に現在をミニ・バブルと仮定し、今後の最悪シナリオに経営者は備えられたい。
本稿は悪までもリスク マネジメントの範疇であり、経済を予測するものではない。経営者足る者は、リスクを手放しにしてはいけないのではないだろうか。年初からの株価下落は、アラビア資本(オイルマネー)が日本株を大量に売っているコトに起因する。日本国政府と日銀では、対処し切れない資本が動いた。原油に関する最近のニュースがそれだ。同日に日刊ゲンダイ/講談社系は記事「日銀買い支えは効果なし 日本株は底なしの“地獄相場”入り」で最悪シナリオを配信した。
<時価総額が七十五㌫のダウン>
当該記事では、日経二二五がより下がり一万五千円を覚悟すべきと、株式アナリストの櫻井英明が予測する。一方、仏アナリストのアルバード・エドワーズは、米国株は七十五㌫も下落するとレポートを公表。米国の市場は日本の市場にダイレクトに影響する。因って、当該記事は、この下落率を日経二二五に当てはめ、四千七百七十八円になると試算。然し、現実味が薄いと締めた。重要なポイントは上場企業二百二十五社の株価が大幅に下がる可能性が存在する、という点だ。リスクをマネジメントする対象ではないか。
寄稿現在でトヨタ自動車(7203.T1)は、下げトレンドで六千三百九十二円。既に先月から千円以上も落としている。更に五十㌫下落した場合は三千百六十九円で、時価総額は十.九十五兆円まで落ち込む。実に十兆円も失うと診る。最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T1)は先月より百円以上落とし、五百九十五円。五十㌫の下落で、二百九十七円五銭。時価総額は、八.八兆円から四.四兆円に。ユニクロのファーストリテーリング(9983.T1)は先月より一万円落とし、三万四千六百十円。五十㌫の下落で、一万七千三百五円。時価総額は、三.八兆円から一.九兆円となる。
<大企業の方針転換に備える>
日本屈指の大企業の時価総額が五十㌫も落ちれば、経営戦略は大きく変わる。それは日本のビジネス環境が大きく変わるコトを意味する。何故ならば、日本屈指の大企業の自己資本(BS)が大きく下がるからだ。イマは仮説でしかない。仮説で済んでいる内に対策を講じ、備えよう。現代ビジネス/講談社は、一月四日に記事『2016年、日本の景気が悪くなる要素が見当たらない~「国債不足」に「追加緩和」そして「埋蔵金バズーカ―」まで飛び出す!?』を配信した。元大蔵・財務官僚の経済学者である高橋洋一が寄稿したが、本年の国内市場の見通しは安定と予測していた。
今年前半、多少景気がもたついても、今年後半には、追加金融緩和(またはマイナス金利)、埋蔵金活用の大型景気対策、それに消費増税スキップが予想されるので、景気が悪くなるとはなかなか考えにくい
然し対策は講じよう。先のバブル景気で対策を講じなかった経営者らは、首を括った。直ぐにできる対策の一つに、“取引先の補完”がある。大企業及び大企業と連動している企業との取引を維持しつつ、連動性の低い(株価の大幅下落に左右されない)中小・零細企業との取引を増やしていく手はないだろうか。万一の際に、事業を継続ないし転換できる術を有しておく。特に新規事業開拓となれば、社内の組織も変える必要が出てくるだろう。イマの強者がミライの強者とは限らない。備えあれば憂いなし。申酉騒ぐ。来年までは備えるべきではないだろうか。
(了)
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