新聞六社の「終戦の日」社説

【社会報道】 平成最後の終戦記念日『戦没者を追悼し平和を祈念する日』に第四権の報道機関・新聞各社は社説を掲載した。


以下は各社の標題。但し、産經新聞のみ論説委員長によるコラム。



東アジア情勢、立派なもの、外交

 讀賣新聞は天皇陛下が最後の終戦の日を迎える点を伝え、「全国戦没者追悼式」で繰り返して述べられた箇所を掲載。陛下と戦争の関係性を示し、次代への繋ぎを「国民にとっても、忘れてはならない宿題である。」とした。そして遺骨収集と東アジア情勢に触れ、「多くの犠牲を礎に築き上げられた平和な社会を、これからも守っていかなければならない。」と結んだ。


産經新聞は自社の社説を振返る。一億玉砕を象徴する長野の全長十㌔㍍の大本営地下壕に触れ、大本営や主要官庁、NHKの移転が趣旨であった点を伝えた。ご聖断に関しても社説を絡めながら、当時を映し出す。そして陛下の靖国参拝を「静かな環境で御親拝がかなうよう、知恵を絞るのは今しかない。」と望む。結びは『終戦から長い歳月を経て、この国は本当に「立派なもの」に仕上がっただろうか。』と再び詫びるべきとした。


日本經濟新聞は終戦時の鈴木貫太郎(戊辰)元・首相を取上げ、孫を取材した。「鈴木が終戦に果たした役割を振り返ることは、いまの時代にも意味がある。」とし、現下の外交にも警鐘を鳴らす。そして憲法第九条「戦争放棄」の発案者が白鳥敏夫(丁亥)元・外交官とする「中央大」の服部龍二(戊申)教授の説を挙げた。



語り合う平和、正確な記録、武力より対話

 朝日新聞は大日本帝国によるアジア太平洋の「負の遺産」を念頭に、日本の役割と和解の歩みの必要性を説く。昭和三十四年の作家・堀田善衛(戊午)の日中関係の危機感を挙げ、現在の反日感情を意識する。アジア秩序は過渡期とし、日本の役割の可能性を探る。そして歴史認識に触れ、平和を語りあう機会の増加を望む。結びは「平和と繁栄と人権を尊ぶ目標を各国の国民とともにし、アジアの未来への新たな記憶を紡いでいく。そんな日本の姿を築いていきたい。」とした。


毎日新聞は終戦の日を羅針盤とする。敗戦前後の国による焚書は戦犯裁判に備えたものとみて、現下の財務官僚による公文書の改竄と廃棄を比べた。「事実を共有しない国家、過去を検証しない国家に、共通の歴史認識が生まれることはなかろう。」と国家としての信頼性に触れる。そして「為政者は自らを正当化するのに、歴史の審判を待つとよく口にする。それが通用するのは、正確な記録が積み上げられた場合のみである。」と断じた。


東京新聞は終戦の日が戦争を無くせるかを考える日ともし、二つの事例を挙げた。昭和五十七年の「フォークランド紛争」と明治三十八年の日露戦争後の小村寿太郎(乙卯)元・外相だ。前者では核持つ国の絶対優位性を説明している。後者では戦争を終わらせた元・外相が、戦地からも戻った子をもつ親から感謝された事を綴った。そして戦争より外交、武力より対話として「反戦は普通の人々の現実である。国家を平和へと向けさせるのは私たちの判断と意思である。」と結んだ。


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