八月の全国企業倒産は全十産業内の七産業で前年同月を上回る、原因は赤字累積と人手不足

【経済報道】 平成三十年九月十日に東京商工リサーチ(代取:鈴木純雄、河原光雄)は、八月の『全国企業倒産状況』を公表した。負債総額が一千万円以上の倒産は六百九十四件で、負債総額が一千二百十三億円となった。前年同期比では倒産数が八.六〇㌫の増、負債額は三十一.二七㌫の増。前月比では倒産数が一.一三㌫の減、負債額は七.五九㌫の増。


倒産数は五ヶ月振りに増加し、負債額は二ヶ月連続で前年同月を上回った。負債百億円以上の大型倒産が二ヶ月振りに発生したものの、負債一億円未満の小規模倒産は七割の水準であった。また「人手不足」に関連した倒産は、二十五年1月の調査開始以来で最多の四十五件。内、「求人難」型は十三件になった。


原因別件数として「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が七ヶ月振りの前年同月比で増。従業員被害者数は八ヶ月振りに前年同月を上回る三千四百一人。全十産業の内、七産業で前年同月を上回った。


サービス業他は三ヶ月連続の増。主に酒場・ビヤホールやエステ業、ネイルサロン等。小売業は二ヶ月連続の増。自動車小売や菓子・パン小売が増えた。情報通信業と農・林・漁・鉱業は二ヶ月連続の増。不動産業は五ヶ月振り、製造業は四ヶ月振り、卸売業が三ヶ月振りに増加に転じた。一方、建設業は五ヶ月連続の減、金融・保険業が三ヶ月連続で減、運輸業は同数だった。


全九地区の内、近畿と四国を除く七地区で前年同月を上回った。二ヶ月以上の連続増は中部、北陸、九州、中国で多い順。関東も十一ヶ月振りに倒産増に転じた。


赤字累積による倒産が増えた点と人手不足による倒産が過去最多となった点は、未来に暗雲が立ち込めている。連鎖倒産を防ぐ為の取引先への注意と今後も拡大する人手不足に中小企業は注意されたい。そして消費者に近い業種が倒産している点も警戒対象だ。来年秋からの消費増税で更なる消費の冷え込みを想定されたい。


画像引用:東京商工リサーチ

記事:羽田野正法

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