進化する着物メゾンJOTARO SAITO、染め×織りで新たな着物の可能性

【高級ファッション報道】 平成三十年十月十三日に東京・三越前にて行われた「TOKYO KIMONO COLLECTION/きものサローネ」内で日本屈指の着物デザイナである斉藤上太郎(己酉)のメゾン『JOTARO SAITO 二〇一九コレクション』が発表された。テーマは「唯一無二」。


これまで創り上げてきたモノを再度に作り直し、日本の近代染色作家の家系が行わなかった染物と織物を織り合わせる事で唯一無二を表現。全二十四ルック。シックで滲み出るエロスを感じるコレクションであった。


コレクションは黒や茶色等のシックな色が基本。落ち着いた色味の中には赤や青、黄色等のカラーをアクセントとして用いた。染めと織り。まるで人間の内面を表しているかの如く、動きによって表情が変化する。それは陰と陽の様だ。内面から滲み出る人間性を引き上げ、解放し、より魅力的に演出してくれる。


 特に足元に注目されたい。以前から斉藤の足袋には独特な魅力があった。遊び心がありつつも王道であった。今回は足元に違いを与えた。揺らめく裾から覗くレースを想わせるデザインだ。コレクション後の取材でハイムは斉藤に質問を行った。「今回は足袋ではなく、足袋の様なソックスを創りました。新たな略式ではあるが、敷居を下げていきたい。」と話す。着物に足袋は当たり前だとされてきた文化を進化させた。「実はこれを創るのに一年位かかってサンプルを重ねてようやく出来ました。出来立てほやほや。今朝、京都から持ってきたんです。」と、コレクション直前まで拘っていた事が伺える。名称はまだ未定。しかし、このソックスが滲み出る色気をより強化するだろう。


デザイナ斉藤に今後の展開を問うと、東京五輪が一つの節目になる事を踏まえ、「今までの日本の文化や文化、価値観を新しく塗り替える事を意識して、全く別の物でなく、進化した着物を提案し、これから創っていきたい。」と指針を示した。取材当時、デニムの着物を着用していた斉藤。既存から進化へ。自ら先頭に立ち、日本文化の新たな可能性を追及する。





撮影記事:岡本早百合

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