黒沢清 監督の「何となく。」という芸術性と「未知な感じ。」の役所広司の映画『CURE』|TIFF2018

【芸能報道】 平成三十年十月二十七日に東京・六本木にて開催中の第三十一回「東京国際映画祭(TIFF二〇一八)」内で映画『CURE(一九九七)/松竹富士』のQ&Aが行われた。今から二十年前の作品である。これは「Japan Now」としてTIFFが特集する映画俳優の作品を一挙に観れる企画。主演の役所広司(丙申)と脚本も行った黒沢清(乙未)監督が登壇した。


役所は本作で第十回「東京国際映画祭」の最優秀男優賞を受賞した。黒沢監督は本作で一挙に世界に名を広めた。サイコ・サスペンス・スリラ作である本作の内容は、連続猟奇殺人(萩原聖人)の事件を追及する刑事と事件に関わる謎の男を描く。今で云うところのサイコパスを扱った作品だ。


 監督(写真上)は「理想としては役所広司さんが出てくれたら、企画として成立するんだけどな。」と当時、トップスターだった役所に対して「こんな内容じゃ無理でしょ、と思っていたんですけれど、まあ、ものは試しにと言いますか、駄目元で。」とオファ承諾に驚いた心境を明かした。当時の監督はVシネ寄りの作品を手掛けていた為の謙虚さだ。しかし本作ではメジャ級を狙っていた。


本心を「何でも良いから役所さんとやりたかった。」と零した。それ程までに役所の演技力を買っていた。役所の演技の幅を当時と今も含めて、そのクラスの役者があまりいない点を強調。役所を「未知な感じ。」と表現した。


 役所(写真上)は懐かしみながら、「僕は、そんなに映画の事は詳しくなくて。黒沢清さんの映画っていうのは、その頃から凄い監督がいるっていうのは噂でも知っていましたし。」と述べ、監督からオファ自体が予想外だった旨を伝えた。役所は台本を読みながら監督に確認をした歳に「いや、どうなんでしょうかね。」と返された点を紹介。


フィルム時代の長回し(ワンカット)についても、監督は「何となく。」と芸術家としての黒沢監督らしさが滲み出ていた。役所も「ワンカットの力って凄いですよね。」と重ねていた。


©2018 TIFF

記事:金剛正臣

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