【政治・社会ニュース】 平成二十八年二月六日に政府が、法案『年金制度改革関連』の一九〇国会での成立を見送る方針を固めたと産経ニュースが記事「年金改革法案の今国会成立見送りへ 参院選への悪影響を懸念」で報じた。本法案には「年金積立金管理運用 (GPIF)」の組織改革(合議制の導入)やGPIFが株式を直接売買するコトへの解禁、年金給付をより抑制する策(年金カット)等が盛り込まれている。当該記事では「参院選二〇〇七」時の自民大敗を意識し、法案提出に留め実質審議を見送るという。
公的な年金制度は幾度も改正が為されている。平成十六年の改正では「年金百年安心プラン」が掲げられた。今後の百年間は、現役時の収入に対し年金で最低半分は保証する(所得代替率は五割)というもの。少子高齢化と労働コストの抑制が背景にあり、保険料負担の上限固定や「マクロ経済スライド(年金カット)」を導入した。当時の総理大臣は小泉純一郎(現 衆院議員)、厚労大臣は尾辻秀久(現 参院議員)、連立政権を担っていた公明党の代表は太田昭宏(現 衆院議員)であった。年金資産は、報道現在で百三十五.一兆円。
=解説=
「年金百年安心プラン」は他誌をみても分かる通り、厳しい状態になっている。昨年にGPIFが株価の下落により、年金積立金を八兆円も損失した報道は記憶に新しい。更に昨年一月配信の記事「損失額は二十一兆円に倍増…年金資産の運用見直しは大失敗/講談社系」に因れば、民主・長妻昭 衆院議員の問いに対する政府答弁書の中に、最大損失が二十六.二兆円と記されていた。経済中位の場合は、九割以上の確率で最大損失が二十一.五兆円だった。詰まり三割程度の損失で収まった、とも言える。
本法案が成立すればGPIFは、より積極的に株式を運用できる。拠ってGPIFの更なる運用失敗を念頭に置き、国民は年金受給額の逓減をシミュレーションした人生設計を求められるだろう。記事「老後必要資産三千万円 長生きリスク対応で金額増加/小学館(画像引用)」では、FPが老後の必要額を算出した。
20年間生活するのに約1800万円、30年間なら約2700万円が必要になる。だが、それだけでは足りない現実がある。ファイナンシャルプランナーの山口京子氏が話す
当該記事は、現行法や物価等を鑑みた現六十五歳以上を想定している。現役世代(十八歳から六十四歳)の内、五十五歳未満は、より厳しいシミュレーションの設定が必要だ。未来の年金受給時に法や物価が異なる可能性が高いからだ。無計画は論外で、現在の収入(ないし収入増)から貯蓄し運用する能力を鍛える必要があろう。
(了)
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