【社会報道】 東日本大震災時の福島第一原発事故を描く映画『Fukushima 50/KADOKAWA』が主演・佐藤浩市(庚子)、共演・渡辺謙(己亥)と監督・若松節朗(己丑)で製作する事を決定した。公開は新元号二年。若松監督は「ホワイトアウト(二〇〇〇)/東宝」等を撮った。来年には実写版「空母いぶき/キノフィルムズ」の公開も控える。
原作は、九十人以上の関係者への取材を基に綴られたジャーナリスト・門田隆将(戊戌)渾身のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発/角川文庫」。
主演の「福島第一原発」一・二号機当直長伊崎利夫役に、佐藤。地元・福島出身で現場を指揮する熱血漢、伊崎を演じる。そして共演の「福島第一原発」所長の吉田昌郎役に、渡辺。同い年の部下・伊崎と、これまで一心同体でやって来たエリート所長の吉田を演じる。脚本はNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の前川洋一(戊戌)。劇場用映画では、佐藤と渡辺は「許されざる者(二〇一三)/ ワーナー・ブラザース映画」以来の共演。佐藤と若松監督は「空母いぶき」に続くタッグ、渡辺と若松監督は「沈まぬ太陽(二〇〇九)/東宝」以来のタッグだ。
以下は佐藤のコメント。
忘れる事で前に進む、失敗をしても何度もトライをする、それは生き物の中で人間だけが出来ることです。しかし絶対に忘れてはいけない、繰り返してはいけない事があります。あの日あの時どういう状況に我々が、日本があっ たのか?その事を思い出し、明日のそして後世の為の映画を若松監督、渡辺謙さん達と一緒に確認をしながら作りたいと思います
以下は渡辺のコメント。
『許されざる者』の撮影中、浩市くんに映画100本目の時はどんな役でも参加するよと、約束してました。でも、気軽に参加する作品ではありませんでした。今もなお苦しみの続く福島の方々の思いを受け止めながら『沈まぬ太 陽』以来の若松監督、そして浩市くん、素晴らしいキャストと共に緊迫感溢れる画を積み重ねていきたいと思って います。ご期待下さい
以下は若松監督のコメント。
2011年3月11日から15日にかけての福島第一原発を襲った事故は国内だけではなく世界の人々をも震撼させた。穏やかな海は荒れ狂う大津波となって原子力発電所の命綱である全ての電源を奪ってしまった。この映画は家族や 生まれ育った町や村を守る為に命を賭して未曾有の危機に挑んだ人々の話です。あの時、現場にいた者しか知り得ない真実を描いて行こうと思っています。スタッフ、キャスト一同全力で準備を進めています。沢山の方に注目して頂ける映画になる様、強い覚悟で臨みます
また同社及び親会社カドカワ(9468.T1)の角川歴彦(癸未)取締役会長も製作代表としてコメントした。
東日本大震災から早くも7年あまりの歳月が過ぎ去ろうとしています。あの日あの時、多くの日本人が感じたのは大自然への畏怖であり、大自然の力がどれだけ人間の想定を越えたものであるか、科学がいかに大自然の前では儚いものであるかを突きつけられました。製作を進める中でさらにその思いを深くしております。
しかし、たとえ人間の力が及ばないとしても、実際にその状況で最善を尽くした人たちがいたことを忘れてはならない、無名の人々が報道では知り得ない努力をしていたことを伝えるべきだと感じ、今回のドラマの中核に据えました。
そこには映画ならではの感動があり、皆さんにご覧いただくと共に、日本人として誇りに思うべき彼らの姿を、尊敬の念を持って後世に残したいと考えております。生々しすぎるという声もありますが、それを乗り越えて世界に発信していかなければなりません。
角川映画には『金環蝕』『金融腐食列島「呪縛」』『沈まぬ太陽』という社会問題をテーマ とした作品を製作してきた伝統があります。来たる2020 年、”復興五輪”と銘打たれた東京オリンピック・パラリンピックを控えたこの時期にこそ、今一度、震災の記憶と向き合い、復興への思いを新たにする作品を世に問う、それこそが映画人の使命であると考えております
=ストーリー=
2011 年3 月11 日午後2 時46 分。マグニチュード9.0、最大震度7 という、日本の観測史上最大の地震が発生。全てが想定外の大地震が引き起こした太平洋からの巨大津波は福島第一原子力発電所を襲う。全ての電源を失ったことで原子炉の冷却が不可能となり、原子炉建屋は次々に水素爆発を起こし、最悪の事態メルトダウンの時が迫りつつあった。
1・2 号機当直長の伊崎は次々に起こる不測の事態に対して第一線 で厳しい決断を迫られる。所長の吉田は現場の指揮を執りつつ、状況を把握していない本社とのやり取りに奔走。緊急出動する自衛隊、そして“トモダチ作戦”の発動とともに米軍もついに動く。
福島第一を放棄した場合、避難半径は250km、対象人口は5,000 万人-
その中で現場に残り続けた約50人の作業員を、海外メディアは“Fukushima 50”と呼んだ。想像を超える被害をもたらした原発事故。現場では何が起きていたのか?何が真実なのか?浮き彫りになる人間
の強さと弱さ。現場と本社、そして官邸との軋轢。東日本壊滅の危機が迫る中、死を覚悟して発電所内に残った職員たちは、家族を、そして故郷を守るため、いかにしてこの未曾有の大事故と戦い続けたのか―
画像提供:㈱KADOKAWA
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