与党の三十一年度『税制大綱』で法人税を大幅減、仮想通貨の算出方法も

【ビジネス考察】 与党が、平成三十年十二月十四日に『平成三十一年度 税制改正大綱』を発表した。PDFで百二十四頁。少子高齢化に対処し、全世代型の社会保障制度へ転換し、消費税を新元号元年十月に十㌫へ引上げる。今回の大綱で経営者が意識を変えて賃上げや投資拡大等に取組む事を期待する。


消費増税分は教育負担の軽減・子育て支援・介護人材の確保と財政再建に半分ずつ充当する。研究開発税制を見直す。中小企業の生産性向上の為の投資を支援する措置を講ずる。また地域経済を牽引する企業に対して集中的な支援を講ずる。


法人課税の国税に関して記す。再掲及び四は除く。

  1. イノベーション促進の為の研究開発(R&D)税制の見直し
  2. 中堅・中小・小規模事業者の支援
  3. 地方創生の促進
  4. 災害対応
  5. 都市・地方の地方税体系の構築
  6. 円滑・適正納税の為の環境整備


一では、R&Dを行うベンチャの控除税額の上限を法人税額/当期の二十五㌫から四十㌫に引上げる。R&Dの増減割合が八㌫超か否かで算出方法が変わる。

R&Dが平均売上高の十㌫超の場合、控除税額の上乗せ特例について二年延長。

R&Dの税額控除率の上限十四㌫(原則は十㌫)を二年延長。

R&Dの増減割合が八㌫超の場合の特例(中小企業 基盤強化税制)を二年延長し、R&Dが平均売上高の十㌫超の場合に税額控除率を割り増す。

特別R&Dの税額控除制度の見直し(税額控除率を二十㌫、医薬品等に新要件、ベンチャ関連は二十五㌫、控除税額を法人税額/当期の十㌫、大学関連の人件費の明確化)

※「研究開発費」は会計用語、「試験研究費」は税法用語。意味は同じ



二では、中小企業等の特例(法人税の軽減税率)、中小企業 投資促進税制(所得税を含む)、中小企業 企業経営強化税制(要範囲の明確化・適性化、同)、特定中小企業の特別償却・税額控除制度(要認定経革等 支援機関の確認、同)と地域未来 投資促進税制(一部引き下げ)を二年延長。

改正『中小企業等 経営強化法』を以って、青色中小企業(要強化計画認定)の新設備の取得価額の二十㌫を特別償却(所得税を含む)。

みなし大企業の見直し(中小企業向け各租税 特別措置等)を二点。



三では、関係法令の改正を以って、地域未来 投資促進税制を二年延長。付加価値が八㌫の増加で、機械装置等の特別償却率を五十㌫に、税額控除率を五㌫に引上げ(承認地域 経済牽引事業)。

寄付時の法人税額の特別控除制度に「地方創生関係 交付金」事業を含む事の明確化と運用改善(認定 地方公共団体)。



五では、新元号元年十月一日から法人事業税の税率改正(所得割・収入割に限定)。年に四百万円以下(甲)、四百万円超から八百万円以下(乙)、八百万円超(丙)の所得に三分割。標準税率は資本金一億円超で甲が〇.四㌫に、乙は〇.七㌫に、丙は一㌫に。資本金一億円以下で甲が三.五㌫に、乙は五.三㌫に、丙は七㌫に。特別法人等も軒並み税率が下がる。

特別法人事業税(各種税率は三十㌫から二百六十㌫)と同法人事業譲与税を創設。


六では、公益法人等の課税所得範囲の変更に伴う調整措置について、二点を見直す。

仮想通貨に時価法を導入。仮想通貨の譲渡は契約日の事業年度に計上。譲渡時の原価計算は「移動平均法」又は「総平均法」による原価法。法定算出方法は前者。未決済分は年度末決済と見做し、損益相当額を計上。

投資法人関連の特例を見直し二点。

(了)





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