陸海空+サイバ・宇宙・電磁波|『防衛計画の大綱』『中期防衛力整備計画』

【政治考察】 安倍内閣は、平成三十年十二月十八日に三十一年以降の『防衛計画の大綱』と三十一年から新元号五年までの『中期防衛力整備計画』を閣議決定した。東アジアの危機が訪れている中、日本国の平和を守る重要な大綱と計画である。閣議後に岩屋毅(丁酉)防衛相は、「我が国を取り巻く安全保障環境は、格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しております。」と現況を国民に伝えた。

岩屋防衛相は第二次森改造内閣で「防衛庁」の長官政務官を務めていた。


ポイントは「主体的・自主的な努力によって守る体制を強化する必要」だ。昭和二十六年『日米安保』と昭和三十五年『新日米安保』から集団的自衛権の平成二十七年『新安保法制(平和安全法制)』へと世界の危機の状況は変化している。日本の唯一の同盟国である米国は、地球上においては事実上の三面作戦だ。その三面は「東アジア」「南シナ・インド洋」「中東」。日本は東アジアでの国土防衛となるが、米国が他二面で軍事作戦を展開している場合には、日本は主体的・自主的な努力によって守らなければならない。

冷戦期とは異なる。現況より、軍事力の強化が日本の平和に貢献する。


新大綱と新計画は専守防衛を崩していない。新大綱では「望ましい安全保障環境の創出」「脅威の抑止」「万一における脅威への対処」を三防衛目標とした。全領域の能力を融合させる「多次元統合防衛力」を構築する。特に宇宙・サイバー・電磁波の新領域における能力の獲得・強化を目指す。報道現在で中国は一隻の航空母艦(空母)を保有。建設中も含めて計五隻に増やす予定。日本は〇隻。憲法九条が足枷となり、ヘリ空母しか保有していない。今回、STOVL機の運用が可能となり、ヘリ空母一隻が実質空母となる(合憲性が高い)。それでも隣国の五隻に対して一隻だ。韓国も〇隻だ。


新計画五年の防衛力整備の水準は、二十七.五兆円を目途とする。「F35A」の取得数四十二機を 百四十七機とし、内、四十二機については短距離離陸・垂直着陸機能を有する戦闘機の整備に替え得る。


以下は、基幹部隊の見直し等。

  1. 航空自衛隊において宇宙領域専門部隊一個隊を新編
  2. 地対空誘導弾部隊二十四個高射隊は維持しつつ、六個高射群から四個高射群に改編
  3. 航空警戒管制部隊について、八個警戒群及び二十個警戒隊から二十八個警戒隊への改編の他、一個警戒航空団を新編
  4. 戦闘機部隊一個飛行隊の新編に向け、必要な措置を講ずる
  5. 偵察機(RF-4)の退役に伴い、航空偵察部隊一個飛行隊を廃止
  6. 空中給油・輸送機能を強化する為、空中給油・輸送機部隊一個飛行隊を新編
  7. 空中での常時継続的な監視を実施し得るよう、無人機部隊一個飛行隊を新編 


以下は、宇宙・サイバー・電磁波の領域における能力の獲得・強化

  1. 宇宙状況監視(SSA)システムの整備;宇宙
  2. 宇宙設置型光学望遠鏡及びSSAレーザー測距装置を新たに導入;同
  3. 我が国衛星の脆弱性への対応を検討・演練するための訓練用装置や我が国衛星に対する電磁妨害状況を把握する装置を新たに導入;同
  4. 指揮通信システムやネットワークの抗たん性の向上;サイバ
  5. 電波情報収集機及び地上電波測定装置等の整備;電磁波
  6. 自動警戒管制システム(JADGE)の能力向上;同
  7. 戦闘機(F-35A)の整備、戦闘機(F-15)の能力向上;同
  8. スタンド・オフ電子戦機等の導入に向けた調査や研究開



中国は米露に次ぐ軍事大国。露中は軍事力を強化している。その中で、日本は今まで通りで平成の世の様に守れるのだろうか。憲法十三条には国(政府)の義務がある。それは「国民の生命・自由・財産を守る事」。昭和二十一年にできた憲法の第九条は現在の危機に適しているのだろうか。そして本当に守れるのだろうか。疑義を呈した安倍政権は九条改憲を国民に提示している。


記事:金剛正臣

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