世界最大の日欧EPA発効、中小企業にもチャンス

【ビジネス報道】 EUの大使館である駐日欧州連合代表部(特命全権大使:パトリシア・フロア)は、平成三十一年二月一日に東京・南麻布にて『日欧EPA(経済連携協定)』の発効を記念してイベントを開催した。同日に本協定は発効。イベントには欧州二十八カ国の大使が集まり、日本からは茂木敏充(乙未)経済再生担当相、吉川貴盛(庚寅)農水相、外務省、財務省と経産省が参加した。


本協定は世界最大級の自由貿易圏(FTA)。昨年末に発効した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を上回る規模だ。GDP合計で世界の三割を占め、域内の実行は六億人超。本協定とTPPを合算すると世界の四割に迫り、人口は十億人を超える(日本の重複分を除く)。具体的には本協定では、九割超の関税品目を相互に撤廃。ワインや豆類、水産物、服飾品等を即時撤廃ないし段階的に撤廃する。日本側の実質GDPは五兆円増、雇用は三十万人増と試算している。

日本と欧州の中小企業にとっても相互の市場へアクセスできる大きな機会となる。


 イベントでパトリシア(辛丑、写真最上)EU大使閣下は、「本日は歴史的な一日です。我々(日欧)は大きな経済力を有しています。本日、世界に対して強いメッセージを発信できました。世界では関税を引上げようとする動きもある中で、日欧は一日で一気に関税の九割を削減し、そして参入障壁も取り除きました。我々は自由で公正な開かれた貿易を信じています。」と挨拶をした。


本協定とTPPに携わった茂木担当相(写真上)は、「日本とEUは民主主義、法の支配、そして基本的人権といった基本的価値を共有するグローバル パートナであります。」と始め、「日本とEUが自由貿易の旗手として二十一世紀型の自由で公正な共通ルールを世界に広げていく。この動きを主導していかなければなりません。」と話した。


吉川農水相(写真上)は、「巨大な経済圏の創出という事になります。世界では保護主義的な国がある一方で、この様な自由で公正なルールの下でのEPAが発効されるという事は、EUは勿論の事、我が国日本の発展の兆しに繋がっていくものと確信しております。」と述べ、更に卵と乳製品の関税撤廃もEUに求めた。


TPPを離脱した米国とは、事実上のFTAである「物品貿易協定(TAG)」の交渉が今月以降に開始。米中の貿易協議の後となる。厳しい交渉が想定される中、茂木担当相に期待したい。


撮影記事:金剛正臣



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