十代とニ十代の女王が高いファッションセンスを披露する映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

【芸能報道】 平成三十一年二月二十二日に東京・市ヶ谷にて米英合作の伝記映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス/ビターズ・エンド』のトークイベントが実施された。公開は三月十五日。「英国アカデミー賞」衣装デザイン賞を筆頭に報道現在で既に十の賞にノミネートされている。本作のファッション性は、ずば抜けている。


監督は本作が初の長編作品となるジョージー・ルーク(丙辰、写真上)。舞台演出家で英・ロンドンの主要劇場で初の女性芸術監督。脚本は「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を企画したボー・ウィリモン(丁巳)。ジョージー監督は「この映画は女性の力についての話であり、また重圧の中で女優として多くを犠牲にした二人の女性についての話でもあります。」と、二人の女王の女性としての人間性に触れている。

「エリザベス(一九九九)」「エリザベス:ゴールデンエイジ(二〇〇八)」のチームが再び結集した。


 時は十六世紀。日本では戦国時代。フランスに対岸にあるグレートブリテン島の北にスコットランド、南にイギリス。北では一五四二年に零歳でメアリー・スチュアート(壬寅)が女王に、南では一五五九年に二十五歳でエリザベス一世(癸巳)が女王に就いた。本作ではフランスから帰国したメアリーの頃からメアリーがエリザベスに処刑されるまでを描く。


帰国した時の北のメアリーが十八歳。南のエリザベスは二十七歳。九つ違いで、二人ともヘンリー七世(丁丑)の子孫にあたる。両方の国の男性達が二人の女王の下で政争が起き、孤独に苛まれる。若き女王二人の物語だ。史実では二人が実際に会った記録が無いが、本作では。

そして二人の女王役は史実通りに対面せず、別々に撮影を行っていた。


 注目すべきはファッションである。北のメアリーは青、南のエリザベスは赤を中心に創り込まれている。刺繍や現代的なデザインも然ることながら、女王はじめ侍従も男性貴族達にもデニムを多様。当然、当時はデニムで作られてないが、違和感が無い様に、且つ美しく大胆にデニムを用いた。白が少ない。甲冑に至っては日本の武士を彷彿されるデザインも。


その挑戦は配役にも現れており、宮廷にはアフリカンやアジアンの貴族もいる。昨今の舞台演出では、白人の役を白人が、という概念を崩す試みがある。男性役者も舞台俳優を主軸とした。そして恐れずに重要な性描写もリアルを追求。北のメアリーの子はジェームズ六世(丙寅)となり、南のエリザベスが六世を後継ぎに公認。晴れてグレートブリテン島は二つの国の王・ジェームズ一世として一つになる。現在のイギリス王室は全てジェームズの子孫。現・女王のエリザベス二世(丙寅)はエリザベス・アレクサンドラ・メアリーが実名。


また時代背景には、宗教戦争があった面も本作の鍵となる。北のメアリーが旧教「カトリック」で、南のエリザベスは新教「プロテスタント」であった。


トークイベント内では、映画添削の赤ペン瀧川が二人をスケバンとして、本作のPR動画を撮影していた。



=クレジット=

出演:シアーシャ・ローナン マーゴット・ロビー ジャック・ロウデン ジョー・アルウィン ジェンマ・チャン マーティン・コムストン イスマエル・クルス・コルドバ ブレンダン・コイル イアン・ハート エイドリアン・レスター ジェームズ・マッカードル デヴィッド・テナント ガイ・ピアース 監督:ジョージー・ルーク 脚本:ボー・ウィリモン 音楽:マックス・リヒター 美術:ジェームズ・メリフィールド 衣裳:アレクサンドラ・バーン ヘア&メイク:ジェニー・シャーコア

2018年/イギリス/124分 ユニバーサル作品 配給:ビターズ・エンド、パルコ

3月15日(金)、TOHO シネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー

(c)2018 FOCUS FEATURE LLC. ALL RIGHT RESEVED.


記事:金剛正臣

画像提供:㈲ビターズ・エンド

写真引用:Photo Coverage: Step Into the LES LIAISONS DANGEREUSES' After Party

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