【政治考察】 百合子都政となってから平成三十一年で三年目となる。一期が四年なので来年が『都知事選』だ。小池百合子(壬辰)都知事は、再選を狙う報道も見受けられるが、都議会の知事与党である都Fは議会運営に経験不足が否めず、東京自民に都知事が擦り寄る。再選の支援が欲しいのか。
都政は如何様だったか。
二月二十一日に施政方針が表明された。東京大改革と称して三つのシティ(セーフ・ダイバ・スマート)に関する施策を継続する。公約級の築地に関しては「食のテーマパーク」から国際会議や展示会等のビジネス関連施設である「MICE」へと変更。だが都知事は、二十二日の記者会見にて「全く考え方は変わっておりません。言葉として、“テーマパーク”というのは、どこまでの何を言うのかは、それぞれお考えは違う事だと思いますけれども。」と変心を認めない。
二十三日付けの日刊ゲンダイでは、パートナである筈の東京公明が変心に対し、都Fに激怒した事を報じていた。
<何が抜け落ちたのか>
本年の施政方針は昨年とさして遜色ない。受動喫煙対策、無電柱対策と豊洲移転が抜けた。初回の一昨年と比べてもさして遜色なく、動物殺処分ゼロが抜け、国際金融都市TOKYOが大きくトーンダウンした。
受動喫煙対策は日本トップクラスの厳格規制が本年より段階的施行。無電柱化は着々と進み、豊洲新市場はアクセスが悪く、一部業者からの不安があるものの、観光客数は今のところ上々。動物殺処分ゼロは撤回に等しい。国際金融都市は国内の金融機関から都知事が相手にされず、目立った功績が無い。
力を入れていた待機児童対策では、昨年七月の福祉保健局の発表によれば、三千人が減少。残るは五千人。一定の成果を得た。
女性活躍を謳うも統計は採らず
こちらも重視していた女性活躍に関しては、二十二日に世界最大級のスタートアップイベント「スラッシュ」の日本版イベントに登壇し、英語で「女性起業家のスタートアップのビジネスを引上げる支援をしていきます。」と謳い、毎年一千社を支援したい旨を述べた。だが、都知事が始めた毎年七億円近くの都税を注入している「TOKYO創業ステーション」は閑古鳥が鳴く。
産業労働局によれば開業率は一昨年度で五.九㌫。小見出しは「全国を上回る東京の開業率」だが、全国は五.六㌫と〇.三㌫程度しか上回っていない。共に「東京の産業と雇用就業二〇一八」。都知事が女性起業家と言うので、産業労働局に問合せてみると、「男女の統計は採っていません。」との事。今後も採る予定は無い様だ。都知事は如何様に自身の施策の有効性を立証する積りなのだろうか。昨年度の統計分は七月に発表する見込み。
この様に百合子都知事は、東京都の小さな規模の問題には対処できるが、大きな規模の問題、詰まりはビジネスにはさして実力が無い政治家と言える。ビジネスには“コネ”、人と人との繋がりが重要である。都内の影響力ある主要なビジネスマンと信頼関係を築けない都知事に再選は望めない。再選してしまえば、更に若手を中心とした東京のビジネスが停滞するだろう。
尚、「人と人を繋ぐ」は、先日に都知事が施政方針の三本の柱に据えた一本だった。自身の願望だったのだろうか。
記事:金剛正臣
写真:都知事、未明の施政方針 築地再開発巡り議会空転/東京新聞
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