言論NPOが『東京会議二〇一九』で仏・日政府へ五つの提言

【社会報道】 平成三十一年三月三日に東京・虎ノ門にてシンクタンクである言論NPO(代表:工藤泰志)は、世界十ヶ国の主要シンクタンクの代表を東京に招き、『東京会議二〇一九』を開催した。議論を踏まえて採択した共同声明は、本年八月に開催されるG7の議長国であるフランス政府とG20の議長国を務める日本政府に提案した。

参加者の国は米・英・独・仏・伊・加のG7加盟国と印・星・伯。


同会議は、戦後世界の繁栄を支えた個人の自由や民主主義、法の支配や人権の尊重という価値及び規範が動揺し、リベラルな世界秩序が更に不安定化している、と見做す。現下の世界では多国間での国際協力が多くの分野で暗礁に乗りかけ、国際社会が分断に向かう可能性が高まっている、とする。


同会議の問題意識は、ルールに基づく自由秩序と多国間主義の価値に基づく世界を守り、更に発展させる事。


本年の提案は以下の五つ。

  1. G7各国は個人の自由と民主主義、法の支配及び人権やマイノリティの権利の尊重といった価値の重要性を再認識し、その下での結束を更に強化すべき。G7が重視すべきは、ルールに基づく自由貿易と多国間主義に伴う国際協力を機能させる事、並びに個人の自由を基盤とする民主主義を支持する事。何れも困難に直面している点を認め、より強い自由民主主義(リベラル デモクラシ)を世界で実現する為の作業に共同で取組むべき
  2. G7各国はルールに基づく自由貿易を堅持する為に現在、表面化する米中間の対立を既存の国際機関の進化を迫る歴史的なショックとして受け止め、より高いルール ベースの経済秩序に向けた努力を開始すべき。その為、日米欧の三極で協議が進むWTO改革が実現する様に結束して取組み、非市場経済的な行動を制約し、デジタル経済の進展に見合う様に、通商ルール自体の高度化を図るべき。またG7各国は個人の権利と自由を保護し、促進する為のデジタル技術とAIの適切な使用を提唱すべき
  3. G7各国はグローバル化やデジタル化の進展を世界全体の包摂的で持続的な成長に繋げる為にも、不平等や国内の所得格差の課題に積極的に取組むべき。個人生活の安定や個人の自由の拡張、不平等の縮小は、自由民主主義が発展させ様とする秩序の土台として尊重すべき
  4. G7各国は民主主義自体の競争力の向上に向け、より強靭な民主制度の再構築を急ぐべき。ポピュリズムや強権政治に陥らず、民主政治に市民の信頼を取戻す為には、民主主義の機能の意思決定を迅速化し、新しい市民参加の方法を促進し、民主政治自体が課題解決に向かうサイクルを取戻す必要がある
  5. G7各国はリベラルな国際社会への支持を固める為、グローバル問題に対して多国間主義に基づく解決の仕組みを標榜するG7以外の民主主義国や個人の自由と多様性を尊重する国の多くの市民とより連携を深めるべき。また考えが異なる国々とも連携・協調する方法を模索するべき。自由な秩序を守り、世界の課題に立ち向かうG7を中核とする取組みは世界のより多くの人の支持に支えられ、守られるべき

撮影:金剛正臣

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