ベア回答で中小・零細が確認するべき労使のトレンド

【ビジネス考察】 中小・零細企業の取締役会も注視されたい。求人と生産性に関わる時事だ。

平成三十一年三月十三日に『春季労使交渉(春闘)』の国内主要企業の集中回答日を迎え、ベースアップ(ベア、基本給の底上げ)妥結額に前年割れが並んだ。本年は実質的に二十六年から続く「官製春闘」からの脱却がポイントとなる。


主要企業の使用者側を代表する経団連・中西宏明(丙戌)会長は、十一日の記者会見にて「経団連は、賃金引上げと総合的な処遇改善を呼び掛けており、ベアは選択肢の一つと位置づけている。」と加盟各社の事情に応じた裁量に委ねていた。

経団連は幅広い政党支持。


労働者側を代表する連合・神津里季生(丙申)会長は、二月十五日の記者会見にて「上げ幅のみならず、絶対水準にも拘りをこれまで以上に持っていこう、という要求姿勢です。」と月例賃金の絶対額を重視。主要企業だけでなく、中小・零細企業にも分かり易い月例賃金の絶対額の提示を強調していきたい。一部の企業はベア要求額を非公表にしていた。連合は各社毎の模索を尊重し、報道記者達の積極的な取材を求めていた。

連合の支持政党は立憲・国民・社民・自由。


四月からは『働き方改革関連法(時間外労働の上限規制等)』が施行される。優秀な人材を獲得・維持する為には、並々ならぬ企業の努力が必要な事は言うまでもない。政府は官製春闘により、平均年収は二十六年度の四百十五万円から最新データである二十九年度の四百三十二万円の三年間で、十七万円増と百四.一㌫が上昇(民間給与実態統計調査/国税庁)。特に女性の平均が大幅に伸びているのは、「女性活躍推進」の一つの成果と言える。


中小・零細が主要企業の基本給に合わせる事は大変に厳しい。だが自業種の平均年収との差額を知り、不足しているのであれば、差額を埋める程の魅力を提供しているかを確認する努力は欲しいところだ。


記事:羽田野正法

写真:春季労使交渉きょう回答 賃上げの行方は(ドキュメント)/日本経済新聞

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