ジョブ型雇用への転換と大学十年を民間から提案|第四回『経済財政諮問会議』

【ビジネス報道】 内閣府(総理:安倍晋三)は、平成三十一年三月二十七日に第四回『経済財政諮問会議』を開いた。議事は「S5時代にふさわしい仕組みづくり(生産性、人的資本等)」と「国際経済の変動に強い経済構造の構築に向けて」の二つ。経団連・中西宏明(丙戌)会長等が有識者議員として資料を提出した。


前者では「人的資本投資」の重要性を説く。特に低所得者層への抜本的改革を推した。今回はa.「ジョブ型雇用時代における人的資本投資の促進」と投資効果を高めるb.「複線型の知識集積」を提案。aで人的資本等の無形資産を生産性上昇のメイン・エンジンに据え、現行のメンバシップ型からジョブ型の雇用形態への転換に向けた制度改革を国に求めた。このジョブ型とは、働き手の知識・能力に応じて職務や勤務場所、兼業・副業も含めた働き方等を選択できる雇用形態の事。


bで5G下でのAI・ビックデータの活用や遠隔教育の徹底を推す。文理分断からの脱却も望み、高校「普通科」の多様化・類型化等と高大連携を進めたい。大学では修業年限の四年を弾力化したい。例えに十年を挙げた。これは、学生が社会に出た後も十年間大学の講義を自由に履修できる仕組みの事で、リカレント教育の具体策である。更に大学院等の単位との組合せで、PhD等の高度・専門的な学位を取得できる様に「単位累積加算」等の既存制度を拡充すべき、とした。


 後者では、英国のEU離脱問題と米中の貿易摩擦が背景。この二要因が来たす景況感の急変を警戒し、海外発の経済変動に強い経済構造とショックの起きにくい国際システムの構築が急務、とした。具体的には、ショック時の経済・金融への影響を迅速に把握する体制構築、設備投資の増加等に繋がる機動的なマクロ経済政策の実行と同一労働同一賃金の取組等の継続を挙げた。また六月の大阪G20にて「グローバル・インバランスの多国間協調による監視・協議」と「ショックが生まれにくい国際システム構築への貢献」につき、日本からの強いコミットメントを望んだ。


会議後の会見で茂木敏充(乙未)経済財政政策担当相は、就職氷河期世代等の所得格差を例に、「出口一体型」のリカレント教育や能力開発等の促進策拡充を会議で安倍首相(甲午)が強調した旨を伝えた。


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